【出版時評】中小出版社の事業承継

2022年9月6日

 メイツユニバーサルコンテンツが事業報告会を開き、事業承継と今後10年間に及ぶ長期経営計画を発表した。事業承継は多くの出版社が共通に抱える課題。各社それぞれの事情はあるが、同社の形は参考になるかもしれない。

 

 同社はガイドブックや趣味、教育、スポーツなどの実用系書籍を刊行し、売上高4億7550万円、従業員15人、年間刊行点数130点ほどの規模だ。1999年に丸善グループの丸善メイツから独立創業した3氏の1人、三渡治氏から、このほど大羽孝志、中村有太の両氏が引き継いだ。親族以外が事業を引き継ぐ場合、株式を取得するために大きな債務を抱えるなど問題が生じるケースも多い。しかし同社では、持ち株会社を設立し、金融機関の協力で、継いだ2人が個人的に大きな負担を負わずに株式の譲渡を実現したという。

 

 金融機関の協力を得られたのは、毎年開いてきた事業報告会などで、業績はもちろん、在庫数などもすべてオープンにしてきたためだ。そのために在庫処分の基準を定めたりしている。そのあたりの詳細は、10月の弊社セミナーで詳しく聞きたい。長期経営計画では、「成長フェーズへの転換」を掲げた。会社を継続させ、従業員の賃金を上げていくためだ。ビジネス書ジャンルへの参入や、図書館ルートの拡大、受発注のDXなどに取り組む。若い経営者のかじ取りに注目したい。

【星野渉】