「The Bunka News」デジタル版7月閲覧ランキング 1位は「取次協会の流通合理化案が判明 トラック新法対応で9項目」

2026年8月4日

 文化通信社はこのほど、2026年7月の「The Bunka News」デジタル版で月間アクセス数の多かった記事を集計した(集計期間は26年6月27日~7月24日)。最も読まれたのは「取次協会の流通合理化案が判明 トラック新法対応で9項目 年間稼働9日減、付録一体納品、週刊誌搬入1日前倒し」(7月9日配信)だった。

 

26年7月「The Bunka News」デジタル版アクセスランキングのサムネイル

 

 同記事は本紙が独自取材に基づきいち早く配信した。28年施行のトラック新法に対応するために、日本出版取次協会(取協)が出版社や書店に提示した流通合理化案が判明した。稼働日数の削減や店舗ごとの配達指定時間の撤廃、週刊誌発売日前々日までの取次搬入などを求めるほか、書店から長年強く要望されてきた雑誌本誌と付録一体化納品、付録返品に伴う廃棄費用の出版社負担なども盛り込んだ。

 

 輸配送と物流業務効率化を目的にした変更点は次の9つ。①積載効率の改善を目的に、年間稼働日数を9日間削減、②地区別の休配日も首都圏の休配日と一致させる、③地区別発売日の設定を輸送会社の要望も踏まえて変更、④店舗配送時間を前日午後から当日午前中の間に変更、⑤店舗ごとの指定時間を撤廃し配達時間帯の目安提示へ変更、⑥書籍・雑誌新刊の取次搬入の平準化、⑦週刊誌は発売日前々日までの取次搬入、⑧雑誌の本誌と付録を一体品化して取次搬入、⑨付録返品などに伴う産業廃棄物は出版社・メーカー側に請求。

 

 現状、⑦については出版社からの反発がかなり強い。とくに即時性が求められるジャーナル系週刊誌を刊行する出版社からは「死刑判決に等しい内容」「校了、印刷スケジュールから厳しい提案であり同意は難しい」「雑誌自体の死活問題」と反対の声もある。情報の鮮度という点で、出版社側からは物流経費を追加拠出することで従来通りの取次搬入日を維持することはできないかとの声もある。⑧⑨に関しては直接的には今回のトラック新法にからむものではないが、書店からの長年の要望を踏まえて盛り込んだ。

 

 なお、取協は7月16日、流通合理化案を正式に発表。27年4月からの開始を目指すとした。

 

 2位は「トーハン代表取締役社長・大西良文氏に聞く このままでは全てが沈没」(6月30日配信)。トーハンは6月26日に定時株主総会を開き、大西良文氏を代表取締役社長とする新体制をスタートさせた。出版流通が大きな転換点を迎えるなかで、従来の延長線ではなく長期的に持続可能な構造へと改革を開始する。改革の方向性や概要について、大西新社長に話を聞いた。

 

 大西社長は「現在の取引条件のままでは、取次も書店も経営が成り立たない」とし、「採算性に基づいた素案を当社で作成し、出版社各社ごとに話し合いをしていきたいと思っている」と発言した。条件改定においては、書店の経営安定に資するものを目指すことにも触れた。

 

紀伊國屋書店・高井会長が新著刊行

 

 3位「紀伊國屋書店・高井昌史代表取締役会長に聞く 図書館を次世代の『知のインフラ』に 『自治体』×『商業施設』×『書店』連携の実践例」(6月16日配信)。紀伊國屋書店・高井昌史会長の著書『奇跡のプロジェクト 図書館が街を変えた! 新生・荒尾市立図書館の挑戦』が、5月に東洋経済新報社から刊行された。このプロジェクトでは、紀伊國屋書店が基本構想から運営までをプロデュースし、管理運営スキームや、積極的なデジタル戦略、人材育成など、長年、書店展開と図書館事業を手掛けてきた同書店ならではのノウハウが発揮された。

 

 高井会長は、図書館と書店は「食い合い」せず、共存し自然と役割分担ができると述べた。 同モデルはほかの地域からも引き合いがあるが、その際「首長が、『読書を推進する』『図書館を整備する』という強い意思を持たなければできない」と断言した。

 

市民が求める書店を自治体が支援

 

 6位「株式会社ブックエース代表取締役社長・奥野康作氏に聞く 自治体と連携し大型書店開店 〝書店を再発明〟で無書店地域を解消へ」(7月14日配信)。茨城県を中心に書店を展開するブックエースは常陸太田市の官民連携複合施設にTSUTAYA BOOKSTORE常陸太田をオープンした。自治体が市民の要望に応えて書店を誘致し、少ない人口でも営業できるよう支援する。このモデルを「書店を再発明するビジネスモデル」と呼び、ほかの書店にもスキームなどを開示するという奥野康作社長に、出店の経緯や今後の書店ビジネスの進め方などについて聞いた。

 

 同店が立地する常陸太田市の人口は4万3000人程度で、通常なら大型書店の出店は難しい。出店の決め手になったのは、市民が望んでいるというアンケート結果だった。「地域社会の課題を解決できるのであれば、これからの書店が生きる道になるのでは」と出店に踏み切った。

 

 奥野社長は、この「書店を再発明するビジネスモデル」を同業他社にも参考にしてほしいという。「それぞれの地元で同じ悩みを抱えておられる書店さんに、このモデルを使っていただきたい。地元の書店だからこそ地元の課題に真剣に向き合う情熱と、地域を発展させたいという気持ちをお持ちだと思うからです。地元企業として、地元の社会的な課題を解決できれば、これ以上のことはないんじゃないかと思います」と呼びかけ、運営ノウハウも惜しみなく公開する心づもりだ。