出版社の動画配信事業
文藝春秋による動画コンテンツ配信サービス「文藝春秋PLUS公式チャンネル」は、硬派の出版社が運営するチャンネルとしては登録者数が多く、タイアップによる広告収入も伸びているという。
同チャンネルで配信しているのは、政治や経済をはじめとしてスポーツ、読書、音楽など幅広い分野の専門家らによるインタビューだ。専門家が真正面から一つのテーマで語る内容は、動画による新書のようで、いかにも出版社らしいコンテンツだ。
当初は『文藝春秋 電子版』の中のコンテンツだったが、誰でも無料で見られるよう本誌からは独立させ、広告モデルに転換。そのことによって花開いた。出版社の強みを生かしたデジタルビジネスを模索した結果だと言える。
編集部は企画や人選、インタビューなど、これまで編集者が行ってきた得意な仕事に徹し、動画の撮影や配信は専門業者に委託している。これも動画の品質や作業の効率化に結び付いているのだろう。
もともと出版社は印刷会社や取次など外部の力に頼ることで、コンテンツ作りを極めてきた。紙からWeb、動画へと扱う領域が広がれば、同様に外部の力を使って自分たちの得意技を発揮していける。これからはAIもそうした力の一つになるだろう。
出版業界が大きく変化していく中で、出版社が新たな領域を切り開くことにも注目したい。【星野渉】
