水俣病が公害認定を受けてから70年。深い苦しみと向き合い続けた人々の声を伝える報道も続き、命と環境を守る社会を築こうとする取り組みが伝えられている◆先日、40年ぶりぐらいだろうか、ある言葉を耳にした。「薬害サリドマイド事件」。社会問題として小中学校等で触れることがあったが、以降はまったく記憶の外に置かれていた。300人ほどが被害者として認定されている◆長年、私の中では過去の薬害の一つとして意識を向けてこなかったが、被害者の皆さんは60歳を超え、障がいを抱えた足や口などを酷使してきたため、深刻な痛みや機能の低下など二次障がいに苦しんでいるそうだ。諸外国では近年、二次障がいに対する追加の補償が決まったり、年金額も増やされるなど、当初の対応が見直されている。日本ではそうした支援の動きが進んでいないようだ。終わった話にはしてほしくない。自省を込めて。【櫻井俊宏】
