【行雲流水】2024年2月20日付

2024年2月19日

 某月某日

 

 食品業界の経営者たちと総勢8名、昨年に続き新潟は八海山でスキー合宿。八海醸造・南雲二郎社長が一切を取り仕切ってくれる。
 夜は南雲さんの実家だった大広間で〝オール八海山〟の宴。発泡日本酒「あわ」に始まり、「雪室八年熟成」、市販していない「自家用大吟醸」で郷土料理をいただく。二次会では、同社のニセコ蒸留所のジン「ohoro」、米のウイスキー(未発売)を一対一の水割りとハイボールで楽しむ。どれもウマい。
 『先輩の本棚』で今年も選者を務めてくれた、長野、ソルトレーク、トリノ、バンクーバーの4大会連続のオリンピアン、皆川賢太郎さんが宴会から合流、翌日は個別指導もしてくれた。今は岩手県・安比高原でスキー場を中心とした街づくりに奮闘する46歳、文武両道、才知あふれる好漢である。

 

 某月某日

 

 渋谷・セルリアンタワー東急ホテルで開催された北海道産のワインと食の展示商談会を覗く。
 フランスからもたらされたセイベル種と、耐寒性が強い道内各地の山ぶどうを交配した「山幸」や「清舞」で作られた赤ワインを試飲。野趣のあるしっかりした酸味と渋味は独特の味わいだった。
 昨年は北海道でも猛暑によるエサ不足で、〝お騒がせ熊〟同様、アライグマや鳥に収穫直前のぶどうを食べられてしまったり、この冬は、ぶどうの木を寒さから守ってくれる雪が少なかったために芽がやられたりしたところもあったとか。
 ようやく定着してきた日本のワインづくりであるが、気温上昇が続けばぶどう品種か場所を変えるしかない。道内には空知、後志など60を超えるワイナリーがあり、この10年で3倍に増えたという。この日集まった23ものワイナリーのブースが放つ熱気に、北海道が遠からず「ワイン王国」と呼ばれる日を予感したのだった。

 

 某月某日

 

 創価学会・池田大作名誉会長をしのぶ会でホテルニューオータニへ。ジグザグに連なる氏の足跡を紹介する写真パネルのいくつかには、編集者であり、ベストセラー作家、詩人、童話作家、写真家、そして教育者としての顔がある。
 17歳で印刷会社の文選工、21歳で「冒険少年」の編集に携わり、三代目会長となってからは山間部や離島、災害被災地などの小・中学校、公立図書館等を対象に55万冊にも上る図書を贈呈してきた。長年にわたる活字文化への愛と貢献に改めて敬意を表したい。