【出版時評】2023年10月24日付

2023年10月27日

あえて古い物件に出店するブックエース

 

 ブックエースがつくば市に出店した「TSUTAYAデイズタウンつくば」を訪ねたが、ショッピングセンターに驚かされた。古いのである。外見はもとより、最近のSCでみられる有名店もなければ、カフェすらない。

 

 「デイズタウン」は1985年にダイエー筑波学園店として開設された。その後、ダイエーが退店し2005年に今の名称となり営業を続けてきた。奥野康作社長は、昨年10月に「TSUTAYA LALAガーデンつくば」の閉店が決まった時から物件探しを始め、ここに目を付けた。古さから、当初周囲から賛意はなかったが、奥野社長を引き付けた。

 

 まず、つくばエクスプレスつくば駅に徒歩5分と近く、周辺の人口は増えているというし、歴史が長いため知名度はある。そして何より、物件が古いため好条件で借りることができた。賃料を抑え、その分内装など店づくりに費用をかける。独自にノウハウを培った複合展開で、収益性が高く「行きたい」店を作る。この戦略は、直前に出した「BOOKACE TSUTAYA イオンタウン水戸南店」でも成功させた。

 

 複合により粗利益率32% を確保し、今後も出店を予定する奥野社長には、11月30日に当社が開催するセミナー「出版業界のキーパーソンに聞く」で戦略や業界への提言を存分に語っていただく。【星野渉】