【出版時評】書店が麻雀リーグと連携

2022年7月19日

 丸善ジュンク堂書店が麻雀のプロリーグ「Mリーグ」とスポンサー契約を結び、日本橋店と梅田店に公式ショップを開設するという。かつて麻雀のプロというと「麻雀放浪記」などの映画やマンガ作品も多く、少々暗いイメージもあったが、「Mリーグ」で印象も変わっている。

 

 同社では昨年、丸善丸の内本店に絵本をモチーフにしたグッズを販売する「EHONS」を開設、今年には梅田店にも開いた。ここは絵本のキャラクター商品を仕入れて販売するだけではなく、著者や出版社からライセンスを得て独自に商品開発を行うことにも力を入れる。本を売る書店が、自ら商品開発に乗り出したということだ。

 

 他社が作った商品を販売するだけでは、どうしても受け身の商売にならざるを得ない。プロモーションも他人頼みになってしまう。自らオリジナル商品を生み出せれば、状況は大きく変わる。しかし、そう簡単にできることでないことは言うまでもない。

 

 丸の内本店は、東京オリンピックで「東京2020オフィシャルショップ丸の内店」を開設。当初はコロナ禍によるオリンピック開催延期によって苦労したが、開催が近づくと、オリンピックグッズは想定以上の購入客を集めた。この経験から、発信力を持ったオリジナリティーのある商材の力を実感したという。コンテンツを扱う書店が目指す新業態である。

【星野渉】