出版3社と丸紅、流通新会社「PubteX」設立 RFIDラボ、今夏に開設へ

2022年3月24日

 講談社、集英社、小学館と丸紅は3月24日、同11日に出版流通をDX活用で持続可能なものに改革することを目指した新会社PubteX(パブテックス)を設立したと発表した。取締役会長には小学館の相賀信宏専務取締役が就いた。出資比率は、丸紅34.8%、丸紅フォレストリンクス16.3%、講談社16.3% 、集英社16.3%、小学館16.3%。

 

 主な事業は、①AI等の先進技術を活用した出版物の発行・配本最適化ソリューション事業と②RFIDソリューション事業──。

 

 ①では、AI等の先進技術を活用して出版物の発行・配本量を最適化するサービス(以下「AI発行・配本最適化サービス」)を出版社に提供する業界が抱える構造的な課題の一つである返本率の低減を目指す。

 

 出版界で活用されている様々な「データ」を縦断的・横断的且つ統合的に活用し、さらにタイトルごとに異なる販売特性にフィットした「AIモデル」を活用して継続的に進化させていくことより、業界サプライチェーン全体の効率化を目指す。

 

 また、AI発行・配本最適化サービスを支えるシステム基盤として、丸紅の「デジタルSCM事業」の戦略的パートナーで、最新鋭のサプライチェーンシステムをグローバルに展開している米国o9 Solutions, Inc(オーナイン・ソリューションズ)の「o9 Digital Brain platform」を活用する。発行・配本最適化サービスは2023年4月より段階的に開始することを目標とする。

 

 ②では、RFID(ICタグ)を出版物に装着し、記録された各種データを用いて、在庫や販売条件の管理、棚卸の効率化や売り場における書籍推奨サービス、そして万引き防止に至るまで、各種のサービスを運営し、書店のオペレーション・経営改善を中心に出版流通の課題解決の支援する。RFIDソリューション事業は23年7月より開始することを目標とする。

 

 また、出版流通の改革に効果が期待されるRFIDの普及を目指し、その機能及びサービスを研究・公開する場として、PubteX 社内にRFIDショールーム(ラボ)を22年夏を目指して開設し、業界に理解を深めてもらう活動を行う予定。

 

 2つの事業を推進するため、今後とも、物流・商流を担う販売会社、オペレーションの改善に前向きな全国の書店、そして高度な技術を有する印刷会社・製本会社をはじめとした関連事業者の協力をへて連携を深めていくとしている。