2021年度「本の日」企画説明会 デジタルの活用など、コロナ禍の先を見据えたキャンペーン展開

2021年7月9日

実行委員会代表の矢幡秀治氏(真光書店)

 

 「本の日」実行委員会は7月1日、オンラインで2021年度の企画説明会を開催し、出版社など100社以上が参加した。実行委員会代表の矢幡秀治氏(真光書店)は「21年度はコロナ後を見据えて『図書カードプレゼントキャンペーン』に加え、一昨年に実施した『ブックカバー大賞』を復活させるなど、各種の企画を展開する」と語った。そのうえで、出版社に「業界は厳しい状況ではあるが、リアルな本屋を残すためにもキャンペーンに協力してほしい」と呼びかけた。

 

大垣守弘委員長(大垣書店)

 

 続いて、大垣守弘委員長(大垣書店)が20年度の総括と21年度の方針を説明。出版社に対して、①「本の日」期間での有力新刊・販促施策の投入、「本の日」連動販促②各施策における「本の日」ロゴの掲載(企画書・拡材・広告等)③自社媒体におけるキャンペーン告知④実行委員会への販促情報リリース⑤協賛金への協力――を求めた。

 

昨年はコロナ禍で、店頭集客型イベントを自粛

 

 例年、同実行委員会は「本の日」に認定されている11月1日を中心に書店の来客・販売促進につながるキャンペーン活動を展開していた。しかし、昨年は新型コロナウイルス感染症の影響を受け、店頭集客型の企画を自粛し、主なキャンペーン活動を「図書カードプレゼントキャンペーン」と「ギフトブック・キャンペーン」に絞った。

 

「図書カードプレゼントキャンペーン」昨年の実績(企画説明会で示されたスライド)

 

 日本図書普及が協賛する「図書カードプレゼントキャンペーン」は11月1~11日の期間中、来店客が店頭掲示ポスターのQRコードを読み取って申し込むと抽選で図書カードNEXTネットギフトをプレゼントする企画。

 

 1等5000円分が100人、2等500円分が3000人に当たった。応募総数3万3214人(前年1万9020人)で前年比174・6%と増加した。また、日本雑誌協会を通じ、出版社26社83誌に広告ページを掲出した。

 

「本を贈る」習慣を提案、プレゼントキャンペーンも好評

「ギフトブック・キャンペーン」昨年の実績(企画説明会で示されたスライド)

 

 文化通信社が企画した「ギフトブック・キャンペーン」では、著名人がお薦めする本を紹介した『ギフトブック・カタログ』で「本を贈る」習慣を提案。全国の書店でフェアが開催された。

 

 製作したカタログの表紙には、ギフトボックスをイメージしたアイコンを並べ、ギフトシーズンを連想させる赤をイメージカラーとして展開。コンセプトに賛同した34人の著名人が「誰かに贈りたい本」をテーマに3冊を選書。選んだ本の書影とリコメンドコメントを掲載し、読み物としても楽しめる1冊になっている。また、「ギフトブック・キャンペーン」の参加書店では1000円以上購入すると賞品が当たるプレゼントキャンペーンも同時に展開した。

 

 11月1日から12月31日まで実施し、参加書店は1500店、カタログ製作数は20万部、プレゼント協賛企業は29社。SNSや各種メディアへの発信に注力し、「朝日新聞」「読売新聞」「毎日新聞」「東京新聞」「神戸新聞」「中国新聞」「ダヴィンチWeb版」などで取り上げられた。

 

2021年度 「イベント奨励金」「ブックカバー大賞」実施へ

 

 21年度の「本の日」は、好評だった来店購入者プレゼント企画を充実させ、書店主導イベントへの奨励金、ブックカバー大賞などの企画を復活させる。また、リモートでの展開やデジタルの活用など、コロナ禍の先を見据えた積極的なキャンペーン活動を展開。関係団体後援による業界を挙げた周知活動に努める。

 

読書還元祭と合同実施 1万人にプレゼント

 

 今回も例年通り、「図書カードプレゼントキャンペーン」を実施する。今回、日本書店商業組合連合会(日書連)の「秋の読者還元祭」と合同実施によって参加書店数の倍増を目指す。

 

 「図書カードNEXTネットギフト」は500円×1万人、賞品総額は例年の約2倍となる500万円を予定。対象は全国書店(組合加盟書店、図書カード取扱店)。期間は10月27日~11月11日を想定している。

 

 また、今年も文化通信社の「ギフトブック・キャンペーン」と協力体制をとる予定だ。書店で本を購入することで、さまざまな賞品が当たるプレゼントキャンペーンを展開し、来店客数と売り上げ増加を目指す。

 

「読書が楽しくなるブックカバー」を一般公募

「ブックカバー大賞」が復活(企画説明会で示されたスライド)

 

 店頭の活性化企画では「ブックカバー大賞」と「イベント助成金獲得企画」を行う。実施に際してはアイデア、デザイン系出版社雑誌での掲載、SNSでの告知などで出版社に協力を求めている。

 

 「ブックカバー大賞」では「本の日」にあわせて、ブックカバーデザインを一般公募。大賞作品は文庫用ブックカバーにして、11月1日から全国の参加書店で配布する。

 

 19年度の応募作品実績は212作品、今回は300作品以上を目標としている。今回のテーマは「読書が楽しくなるブックカバー」。ブックカバーデザイン応募期間は8月1日~9月20日まで。

 

 大賞発表は10月27日を予定。選考方法は、参加書店からの投票とデザイン系雑誌の編集長から構成される審査委員で選ぶ。書店参加申込は7月1日~29日まで。専用サイトで受け付けている。なお、先着300店舗は3000円を補助する。

 

今年の「イベント助成金獲得企画」(企画説明会で示されたスライド)

 

 イベント助成金獲得企画では「本の日」キャンペーン期間中の来店促進、キャンペーン認知アップを目的としたイベントを助成する。オンラインを活用したイベントも対象。イベント対象期間は10月1日~11月30日まで。助成金は1店舗5万円(上限)。予算は総額で200万円、例年の2倍となっている。

 

 受付期間は8月2~31日。規定の申込書で申請し、事前審査が行われる。12月12日までに事後報告書、イベント報告書を提出。確認後に助成金を振り込む。

 

 協賛企画では、企業協賛キャンペーンによる書店店頭の活性化を図る。19年度はハウス食品様の協賛で、テストケースとしてレトルトカレーの配布を実施、好評を博した。21年度は詳細が決まり次第、発表を行う。

 

雑協 「本の日」に合わせ、雑誌店頭フェア企画を募集

 

 このほか、日本雑誌協会(雑協)の次世代雑誌販売戦略会議(次世代会議)でも「本の日」に合わせて、店頭配布用の図書カード(500円分)を6000枚以上用意し、「雑誌店頭フェアコンクール」を実施する。開催期間は「本の日」キャンペーン事業展開期間(10月1日~11月30日)。

 

 図書カードの配布数は審査基準に応じて決める。申し込みは8月1日から開始する予定。雑協ウェブサイトなどから受け付ける。書店の参加条件は二つ。雑誌を軸にしたフェア企画書を雑協宛てに応募すること。店頭フェアの様子を写真に収め、送信できること。

 


▼「本の日」2021年度キャンペーン

 

▽「本の日」2021年度キャンペーン
 https://honnohi.com/archives/403/

▽「本の日」ブックカバー大賞

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