国際大学GLOCOM コロナ禍でのフェイクニュース調査レポート発表

2021年7月2日

 

 国際大学グローバル・コミュニケーション・センター(国際大学GLOCOM)はこのほど、15~69歳の男女5991人へのアンケート調査データをベースとした調査研究レポート「フェイクニュース―with コロナ時代の情報環境と社会的対処―」を発表した。新型コロナウイルス関連10件、国内政治関連10件、合計20件の実際のフェイクニュースについてインターネット調査を実施。期間は2020年9月2日から9月6日。

 

フェイクニュースの接触率

 

 新型コロナ関連フェイクニュースに1つ以上接触している人は45.2%、政治関連フェイクニュースに1つ以上接触している人は28.2%いた。全体では51.7%の人が20件中1件以上のフェイクニュースに接触しており、10代が最も多いが、あらゆる世代で接触が見られるなど、身近にフェイクニュースが存在することが分かった。

 

 

 新型コロナ関連フェイクニュースを偽情報と気付いていない人は接触者の41.1%に留まっていたのに対し、政治関連フェイクニュースについては5人に4人以上の割合に当たる81.2%が気付いておらず、年代による差もなかった。

 

 新型コロナ関連フェイクニュースに騙される人が比較的少なくなったのは、元より疑わしいものが多かったことと、メディアで幅広くファクトチェック結果が報じられたことが要因と考えられる。

 

 フェイクニュースを偽情報と気付かずに拡散する手段として、最も多いのは「家族・友人・知り合いに直接話した」で10.3%。次いで「メッセージアプリ」が5.9%、Twitterは3位の4.3%だった。

 

ソーシャルメディアで偽情報だと気づかずに1万人以上に拡散した人(拡散人数はフォロワー数)

家族・友人・知り合いに対して偽情報だと気づかずに100人以上に拡散した

 

 フェイクニュース20件について、大量の人に拡散したスーパースプレッダーは全体で1%以下だが、拡散数の約95%がスーパースプレッダーによるもの。ごく一部の拡散者がフェイクニュース拡散の大部分を担っていることが分かる。

 

 また、同社が行ったフェイクニュースの真偽判定能力に影響を与える要素についての回帰分析によると、「筆者の意見が入った文章かわかる」「文章から確実に言えることが何かわかる」といった情報リテラシーが高いことが、新型コロナ関連フェイクニュースの真偽判定能力を大きく高めていた。

 

 ソーシャルメディアで情報・ニュースに接触することは、フェイクニュース真偽判定能力を弱めておらず、むしろ多様な情報源から情報を摂取する人は真偽判定能力が高いという結果だった。

 

 しかし、ソーシャルメディアやメールへの信頼度が高いとフェイクニュース真偽判定能力が低い傾向があった。マスメディアへの不満や自分の生活への不満が大きいと同様の傾向が見られ、特に政治関連フェイクニュースの真偽判定能力に大きな影響を与えていた。