【つぶや記】2026年7月14日付

2026年7月14日

 八百屋お七の墓参りをした。息子の学校課題に保護者の付き添いが必要で、訪れることになったのだ。自宅近くに墓があることも、実在の人物であることすら、それまで全く知らなかった◆江戸時代の作家・井原西鶴の『好色五人女』で広く知られるようだが、これまで私は『ガラスの仮面』の北島マヤ演じる劇中劇で知るだけだった。恋人に会いたい一念から放火したとされ、死罪になった悲劇の少女として作品ではドラマチックに描かれている。長く人の胸を打つヒロイン像であるのだろう、歌舞伎や人形浄瑠璃にも演目がある◆史実は諸説あるようだが、縁の場所を巡るうち、お七の人生の輪郭が現れてきた。課題に付き合わされなければ、日常を過ごしていた場所が、歴史や物語の舞台と知らずにいた。幸か不幸か浮いた話のない自分は、彼女が激しく短い人生を過ごした町で、これからも無事に過ごしそうだ。【井上真智子】