文化通信社セミナー 大日本印刷出版イノベーション事業部執行役員事業部⾧、DNP出版プロダクツ代表取締役社⾧・入鹿山智也氏「デジタル印刷の可能性~読者の『読みたい』に応えるために~」

2026年5月28日

 文化通信社は5月14日、オンラインセミナー「デジタル印刷の可能性~読者の『読みたい』に応えるために~」を開催した。大日本印刷出版イノベーション事業部執行役員事業部⾧、DNP出版プロダクツ代表取締役社⾧の入鹿山智也氏が登壇し、デジタル印刷の現状や可能性について説明した。

 

オンラインでセミナーを行う入鹿山氏

 

はじめに、日本の出版業界における問題点として、過剰在庫と機会損失という業界全体の構造的ジレンマが存在し、利益が出ない構図になっていると提起。これに対し、ドイツのリブリ社が手がけるプリントオンデマンドシステムを挙げ、日本より大幅にリードタイムを短縮していると紹介した。

 

 次に、デジタル製造の小ロット化による在庫削減は目的の一つに過ぎず、コンテンツのライフサイクルを長期化し、継続的に利益を生み出すことが重要だと指摘。

 

 具体的な活用方法として、①初版をデジタル製造へ切り替え収益を最大化、②販売データと連動させた適量デジタル製造で売り伸ばしを最大化、③在庫・返品データに基づく小ロット重版、④品切れ重版未定であるロングテール商品のステータスを「在庫あり」に変更し、小ロット重版で収益化、⑤グローバルパートナーと包括契約し、「一冊から世界とつながる」という5つのモデルを提案し、検証結果や実例を挙げて効果を示した。

 

「本が継続的に読者に届けられ、読まれること」を実現する最適な手段の一つがデジタル製造だと述べ、「重要なのは製造だけで完結するのではなく、出版社・取次・書店などサプライチェーン全体が同じ目線で取り組むこと」と強調し、締めくくった。