文化通信社はこのほど、2026年6月の「The Bunka News」デジタル版で月間アクセス数の多かった記事を集計した(集計期間は26年5月23日~6月26日)。最も読まれたのは「出版社への取引条件変更要請開始へ 日本出版販売・富樫建代表取締役社長と田中宏樹取締役副社長インタビュー 『経済合理性に基づく取引条件を提案する』」(6月23日配信)だった。
日本出版販売(日販)は、取次事業が大きな赤字に陥るなか、出版社へ取引条件変更などの要請を開始する。日本出版取次協会会長にも就任した富樫建社長と田中宏樹取締役副社長に、同社が描くこれからの出版流通のイメージや、出版社に提案する取引条件の方向性などについて聞いた。
日販がこれから出版社に提案する条件は「これまでの『パートナーズ契約』のような、返品を削減して生まれたプロフィットをシェアするという考え方ではなくて、書店が意思を持って商品を仕入れ、店頭でしっかり売っていくことによって、結果として返品率が下がる。そこで生まれた売上と返品削減の両方の利益を原資として、出版社、取次、書店でシェアするという考え方」(富樫社長)。
今後、出版社との間でもたれる取引条件について田中副社長は、「それぞれの取引には歴史的経緯もあり、一律にすると不公平感を持たれることもある。個別対応でお話ししていくしかない」と説明。富樫社長は「原則は卸としての考え方、ボリュームディスカウントやスケールメリットといった経済合理性をベースに、経済的な要件を整理し直して、納得感を持っていただけるよう各社にオファーする」。条件は「ゼロベースでの見直し」を公言しているなかで、「出版社によっては、これまでよりも良い条件になるケースもある」とも付け加えた。
2位は「アルファベータブックスが事業停止」(5月27日配信)。芸術書や鉄道書などを刊行するアルファベータブックスは、4月上旬までに取引先や関係者に事業停止を通知した。
通知した文書によると「資金繰りに窮し、今後の事業の継続が困難となった」ためだという。東京商工リサーチによると負債総額は約1億5000万円。19年9月期には売上高7386万円をあげていた。26年4月9日付で事業を停止、破産や任意整理などの手続きを視野に事後処理を進めるとしていたが、破産開始決定となった。
取次の決算・動向に注目
3位は「【決算】トーハン 取次事業40億円超の赤字 26年度は単体黒字見込み」(6月2日配信)。トーハンの25年度(26年3月期・単体)決算は前年8億7400万円の経常利益から11億3000万円の経常損失に転落、取次事業の経常損失は40億円以上と赤字幅が大幅に拡大した。
売上高3704億6300万円(前年比2.8%増)と増収を確保したものの、営業損失22億1400万円(前年は1億9900万円の損失)、不動産事業の経常利益が24億4900万円あったが補いきれなかった。増収の主因はコンビニエンスストア(CVS)3社の物流引き受け拡大によるもの。ただしCVS配送は件数も多く、物流経費の増加要因ともなった。
26年度の見通しについて取締役上席執行役員の渡部弘之氏は、取次事業の赤字継続は避けられないとしながらも、25年度に発生した一時的な経費の消滅、コスト削減の効果、不動産収入のさらなる拡大を挙げ、単体での経常利益黒字転換を見込むと話す。
6月にトーハンの社長に就任した大西良文氏は本紙のインタビューで「経営的に見て、取次事業をやめるという選択肢はあるのか」との質問に対して、「選択肢はあるかもしれないが、お取引先への影響も大きい。何よりわれわれは出版文化を守っていくという強い意志があるので、その選択肢を選びたくはない。まずは赤字を減らす努力をして、変えられるルールは変えて、取次事業を維持継続できる展望を開きたい」と発言している。
5位は「【決算】CCC 単体純利益343億円に 子会社売却で特別利益410億円計上 連結純利益は154億円」(6月16日配信)。カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)は6月12日、第41期(25年4月1日~26年3月31日)決算を公表した。単体の純利益は343億8600万円で前期比6.6倍と大きく伸長した(前期は51億円の黒字)。前期は株式売却益で特別利益を120億円計上したが、41期は子会社売却益で特別利益を410億円計上し最終利益を大きく押し上げた。本紙の取材に対しCCCから当子会社の具体的な開示はなかったが、三井住友カードに売却した「Vポイント」運営会社のCCCMKホールディングスとみられる。
市民の要望で大型書店開店
6位は「ブックエース 市民ニーズで複合施設実現 『書店ファースト』の官民連携 TSUTAYA BOOKSTORE常陸太田開店」(6月24日配信)。茨城県常陸太田市の官民連携複合施設が6月24日開業した。茨城県を中心に店舗展開するブックエースが運営するTSUTAYA BOOKSTOREを核とする。
常陸太田市は人口約4万3000人と、通常なら大型書店の出店は難しい地域。しかし、市民アンケートで「書店がほしい」という要望が最多だったことを受け、「書店ファースト」を掲げて同市が支援することによって官民連携を実現させた。
TSUTAYA BOOKSTORE常陸太田は、売場面積620坪に約17万冊の書籍を在庫。国内外のこだわりの食品を集めたセレクトショップ「AME&KAZE」を展開するほか、コスメや雑貨・文具と、幅広い商品を扱う複合店。書店内に70席設けた学習スペースは無料で利用でき、パソコン作業やコンセント利用も対応している。
奥野康作社長は今回の出店を「書店を再発明するビジネスモデル」と呼び、こうした人口の少ない地域でも出店可能な形を提示することで、無書店地域を解消するモデルとして広めていきたい考えだ。
