エディション・エフ 夫婦最後の時間を記録、写真文集『揺れて歩く ある夫婦の一六六日』

2020年5月13日

『揺れて歩く ある夫婦の一六六日』B5変形横型/192㌻/本体2200円

 

 【関西】エディション・エフ(京都市・岡本千津代表)は4月15日、末期がんを宣告された父親の最後の時間を記録した写真文集『揺れて歩く ある夫婦の一六六日』(清水哲男)を発刊した。

 

 著者は京都出身・鹿児島在住の著述家で、市井の人々の日常を描いた著作が多数ある。数年前から写真表現にも取り組み、同書が初の写真集として結実した。

 

 昔気質の指物師だった父と、歌人の母が互いを思いやりながら交わす会話や、居間でうたた寝する姿、訪問看護を受ける様子など、高齢者家庭によくある風景をモノクロ写真で切り取った。

 

 余命宣告を受けた父が残そうとする言葉、父を支えてきた母の思い。夫婦のごくプライベートな生活の記録ながら、死と対峙する人々の様子を写真と文章とを折り重ねるように描き、「人の生と死の意味」を問いかける普遍的な内容となっている。

 

 同社の岡本代表は、「高齢者や介護に直面している人だけでなく、すべての世代の誰もが生と死について自問したくなる一冊。写真コーナーでの多くの人の目に触れる展開をお願いしたい」という。

【櫻井俊宏】