【出版時評】2026年10月27日付

2026年10月27日

20年前の出版

 

 読書週間に合わせて「20年後の出版」をテーマに寄稿をいただいた(本紙4面掲載)。今年創業・創刊80年の当社が100年を迎える時代はどうなっているのかという、まことに手前味噌な企画ではあるが、それぞれの視点からの2046年予測は興味深い。


 では、20年前はどうであったのか。06年の本紙1月1日付1面の新年号特集は、いずれも新聞業界人が書いた『ネットは新聞を殺すのか』と『新聞がなくなる日』という本の著者対談。ネットによる大転換が目前に迫っているなか、紙の代替ではないネットビジネスが必要だという指摘があり、クリステンセンの『イノベーションのジレンマ』が紹介される。


 しかし、この時はまだ取次各社がそれぞれ「新春の会」(かつては市会と言った)を開催していた。書店数は1万7582店(アルメディア調べ)と最盛期から5000店ほど減っていたが、年間の書籍・雑誌販売額は2兆1526億円。このうち雑誌販売額が1兆2200億円と、1兆円を上回っていた。


 この時期も、雑誌市場の縮小に対する不安は示されていたが、いまほど強い危機感を業界全体で共有できていたとは言い難い。20年後から見たとき、今のわれわれに求められる危機感のありようはどのようなものなのか。目の前の変化に目を奪われがちだが、たまには振り返ってみるのも良いかもしれない。【星野渉】