【出版時評】2026年10月20日付

2026年10月20日

アナログ回帰の動き本にも

 

 博報堂教育財団こども研究所が発表した「子どもの読書」調査結果には、本が好きな子どもは多いが、動画やゲームに時間をとられているという傾向が見られた。さもありなん。電車でスマートフォンをのぞき込むのが大半という光景を見ると、大人も同様であろうと思う。


 そして、読む本を知るきっかけは、学校の図書室が55・5%、本屋が48・6%と書店が2位である。調査対象が小学4年生から中学3年生と、まだそれほどネットを使いこなしていないためかもしれないが、同様の調査でもこうした傾向が多く見られる。


 本好きを自任する子どもは多いが、実際に読書に費やす時間は短く、書店で本に出合う子どもも多いのに、書店の数は減り続ける。あらためて何かがかみ合っていないのではないかと思わされる。


 韓国では若者が紙の書籍や活字を「かっこいい」と感じる「テキストヒップ」と呼ばれるムーブメントが定着しているという。「ほぼ日手帳」がアメリカなど海外で売上を大きく伸ばしているのも、若い人たちに、紙や手書きといったアナログへの回帰欲求があるからだという。


 急増する情報漏洩やAI脅威論などが広がる日本でも、そうした思いを持つ人々は増えているに違いない。これから始まるBOOK MEETS NEXTで、ひとりでも多くの若者に本や読書、書店の魅力を届けたい。【星野渉】