毎日新聞写真部史 『目撃者たちの記憶』発刊 現役・OBが取材秘話記す

2022年12月5日

 

 毎日新聞写真部OB会が部史『目撃者たちの記憶 1964─2021』(大空出版)を発刊した。毎日新聞の創刊150年を記念して、1964年の東京五輪から2021年の東京五輪まで57年間にわたる写真記者の取材の軌跡を1冊にまとめた。

 

 部史はB5判276ページ。2度の東京五輪のほか、三億円事件(68年)、大阪万博(70年)、登山家植村直己さん北極点到達(78年)、日航ジャンボ機墜落事故(85年)、雲仙・普賢岳大火砕流(91年)、阪神大震災(95年)、東日本大震災(2011年)──など歴史的なトピックスについて、写真部と旧出版写真部のカメラマンの取材記146本を収録した。現場を踏んだカメラマンがその時何を見て、何を考えたのか。スクープ写真の裏には何があったのか。最前線の取材秘話を詳述している。

 

 このほか、戦中・戦後に活躍したカメラマンにスポットを当てた「毎日新聞写真記者列伝」、ニコンとキヤノンの技術競争や写真電送の進歩を描いた「毎日新聞写真部の機材変遷史」などのコラムを15本掲載。各年の重大ニュースと当時の取材者名を記した「足跡」も載せている。

 

 取材記を執筆したのは、最年長94歳のOBから現役部員まで計84人。いずれも執筆者が現場で撮影した写真を添えており、その時代を感じ取ることができる。

 

 写真部OB会は89年、25~66年に焦点を当てた部史『「激写」昭和』(平河出版社)を刊行しており、それに続く部史として3年前から編集作業を進めてきた。写真部OB会出版担当の佐藤泰則・元東京本社写真部長は「現場に立ち会ったカメラマンが何を思い、どう行動したのか。本書を通じてその時代を感じてもらいたい」と話している。

 

 税込み2420円。問い合わせは大空出版(03・3221・0980)。