ふたば書房茨木店オープン コンセプトは「心のゆとり」、ギフト需要に期待

2021年4月7日

「贈る」というスタンスに挑戦する洞本社長と山野店長(左)

 

 京都を中心に書店、雑貨店を展開するふたば書房(洞本昌哉社長)は3月27日、25店舗目となる「ふたば書房茨木店」を大阪府茨木市のイオンタウン茨木太田2階に160坪でオープンした。取引取次は日本出版販売。

【堀雅視】

 


 

シンボルツリーと大型ブックのオブジェ (奥には50 坪の雑貨スペース)

 

 東芝茨木工場跡地に約3万㎡、テナント50店舗以上のイオンタウン。近隣は2018年、約1㎞南にJR総持寺駅が開業、19年には追手門学院大学の総持寺キャンパス開設、同学院中学・高校も移転してきた。中高層マンションも建設中(来年完成予定)と、開発が進んでいる。

 

 洞本社長は出店意図について「久しくショッピングセンターでの新規開店がなく、どこかのタイミングで考えていた」とし、「自粛期間、人々が本を求めていることが実感できた。ビジネス街でなく、こういう地域に必要とされる場所にこそ意義がある。その狙いにこの物件がマッチングした」と話す。

 

「読む」に「贈る」をプラス ギフト向けに重点

コミック、学習参考書を中心に書籍も充実

 

 在庫は約6万冊、山野優輝店長は「コロナ禍でコミック需要が伸びたことを考慮し、この広さとしては多い1万冊以上のコミックを置いた。また、商圏内に小、中、高校とすべてあり、教育熱が高い地域。学習参考書も充実させた」という。

 

 ふたば書房の強み、雑貨スペースは50坪。店舗コンセプトとして「心のゆとり」を掲げ、本、雑貨を「売る」、「買う」の観点から「贈る(ギフト)」に重点を置いた仕掛けを見せる。京都で人気のコーヒー豆を扱う会社や、洋菓子店とも提携し、ふたば書房オリジナル商品を開発。

 

 月別にテーマを設け、4月は「読書を潤す」。コーヒー関連本や、コーヒーを飲みながら読むのに相応しい本と、ふたば書房オリジナルブレンドドリットなどギフトとして提案する。

 

 洞本社長は「自分が感銘した本は、人にも薦めたいもの。これからの書店は自分の『読書』という形だけでなく、『贈る』というスタンスも求められるのでは」と話す。雑貨についても「贈る相手を想像して素敵な商品を選んでほしい。選ぶのが難しい人は店内に『メニューブック』として掲示しているので、参考にしていただければ」と、ギフト需要に期待を示す。

 

 また、同社では初めてデジタルサイネージを導入。狙いについて洞本社長は「出版社としてもパネルやポスター制作を考えれば、データ送信で済み、コスト削減、我々も広告費という新たな収入につながる」と説明する。

 

商業施設出店に意欲

 

 山野店長は「ここは大きな店が遠く、みなさんにとって待ち焦がれた施設。その気持ち、生活に寄り添って店づくりをしていく。店舗はまだ完成形ではない。お客の声を聞きながらニーズに近づけていきたい」と抱負を語っていた。

 

 洞本社長は「雑貨も入れて月1600万円は見込んでいる。市場的に不安はない。こういう場所で成功すれば、また違った施設から声がかかることがある」と今後も積極的に展開していく意欲を見せた。

 

〈ふたば書房茨木店〉 ▽住所=大阪府茨木市城の前町2―1イオンタウン茨木太田2F/電話=072(631)5528/営業時間=10~21時・年中無休