丸善丸の内本店 人生100年時代に備えるフェア 、ベストセラー編集者の選書で話題に

2021年1月19日

選書フェア『LIFE UPDATED ~人類の近未来と幸福~』

 

 丸善丸の内本店(東京・千代田区)は12月26日から2月上旬の期間、『LIFE UPDATED ~人類の近未来と幸福~』と題した選書フェアを実施している。

 

 選書フェアは人生100年時代をテーマとして、未来をポジティブに捉え、よりよく生きていくために読みたい書籍290点を展開し、来店客の注目を集めている。同店で企画を担当した和書グループ1階売場長の松本直亮氏は、副店長の友田健吾氏が見つけた「近い将来、日本人の過半数が50歳以上になる」という記事が切っ掛けだったと話す。

 

『LIFE SHIFT』『LIFE SPAN』の編集者が選書を担当

『LIFE SHIFT』(東洋経済新報社)

 

 選書に関しては、人生100年時代の生き方を提示した書籍『LIFE SHIFT』(東洋経済新報社)を手がけた佐藤朋保氏に依頼。さらに『サピエンス全史』(河出書房新社)や『ホモデウス』(同)を手がけ、河出書房新社から東洋経済新報社に移籍後、人生100年時代を健康に生きる方法を書いた『LIFE SPAN』(東洋経済新報社)の編集者である九法崇氏とも相談し、共同でフェア書目を選んだ。

 

『LIFE SPAN』(東洋経済新報社)

 

 ディスカッションを重ねながら、テーマに合わせ中分類として「Business」「Society」「Life Style」「Philosophy」「Future」「Technology」「Science」の7カテゴリを設定。ノンフィクションだけでなく、『1984年』(早川書房)などのSF小説、『リヴァイアサン』(岩波書店)などの古典をはじめ、幅広い書目が並んでいる。

 

 フェアは同店3階のエスカレーター横、常にフェアコーナーとして稼働している目立つ棚で展開。来店客からの反応は上々で、掲げられているテーマから問題意識や気づきを与えられ、棚の前で立ち止まり、真剣に本を選んでいる姿も見られるという。普段の棚では動かない書籍も売れ行きがよく、フェア全体が盛り上がっている。

 

書店の棚を“編集”

 

 松本氏は「佐藤さんと九法さんの知識量や、選書のセンスに驚かされた。ベストセラー編集者の二人が書店の棚を“編集”したことで、書店員では選びきれない、業界的にも価値があるフェア棚ができた」と話す。

 

 東洋経済新報社もフェアの趣旨に賛同し、同社メディアで取り上げたほか、他の媒体にも働きかけている。

 

 今回のフェアについて、松本氏は「新刊が入るたび『この本はあのカテゴリに入るな』といった発想になるような、どんどんアップデートされていくフェアとなっている。いつの時代でも通用する確かな書物を伝えていきたいし、自分もより知りたい。フェアの書目をパッケージ化して、丸善全体で取り扱ったSDGsフェアのように、他店にも広げていきたい」と展望を語る。