「変化」の実現を期待したい
日販懇話会は、2019年まで開かれ、20年からはコロナ禍によって「NIPPAN Conference」として動画配信に切り替え、24年に同名の会合を開催。今回7年ぶりに以前の名称で開かれた。名称は戻ったとはいえ、中身は「変化」を強調する内容だった。
説明に立った富樫建社長と田中宏樹副社長からは、印象的な言葉が発せられた。「これからの日販は今まで以上に常識を超えたアクションを重ねていく」「これまでと同じ形、同じ頻度、同じ条件で本を流通させることはもうできない」など。こだわって原稿を作ったという印象だった。
出版流通に抜本的な「変化」が必要だということは言うまでもないが、その変化がなかなか進んでいないのも事実だ。現状を見て「損失の原因や程度がはっきりしているのに、なんで明確な条件変更などが行われないのか」と他業界から来た人が不審がっていた。
この業界は、出版社、取次、書店、そして出版社同士も仲が良い。それは美質だと思うが、反面、取引や交渉での緊張感が薄いという面もあるのかもしれない。取引は個別であるのは当然だが、業界が成立する標準的な条件は明確であるべきだろう。そうでなければ、新規参入も難しい。
田中副社長は「タイムリミットは27年度」と宣言した。来年である。その実現を期待したい。【星野渉】
