デジタル印刷が出版流通を救う
デジタル印刷が出版流通の危機への対策として注目されている。そんなテーマで、電子出版制作・流通協議会の入鹿山智也会長に当社セミナーで話してもらった。入鹿山氏は大日本印刷の出版部門のトップであり、長年、出版社営業に携わった方である。
入鹿山氏は、まずドイツの書籍取次リブリ社の事例を報告。ドイツ中心部にある流通センターにPOD(プリント・オンデマンド)のラインを導入し、従来の実在庫100万点に、PODタイトル400万点を合わせて500万点を即納タイトル(書店が夕方までに注文すると翌朝着で届ける)にする計画だ。すでにそのサービスは稼働しており、取り寄せで2~4週間かかっていた商品が、製作時間2時間で出荷できるという。
その前提として、ドイツの出版業界団体が、2025年の出版業界の予想として11年にまとめた「55のテーゼ」を挙げた。テーゼでは「書籍、雑誌、新聞はそれぞれ売上が25%減少する」など極めて厳しい予想を示していたが、ドイツの書籍売上は現在も堅調だ。入鹿山氏は早期に危機感を共有し、リブリ社のように流通改善など対策を講じてきた結果だと話した。
入鹿山氏は営業時代、書籍を担当した。しかし、雑誌全盛の当時、印刷機を確保するのが難しかったという。そもそも書籍で成立してきたドイツの出版流通との違いも大きいのだろう。【星野渉】
