出版業界に特化した老舗の人材コンサルタント企業のトーハン・コンサルティング。人材派遣、人材紹介、営業代行、人材育成の4つの柱で「人に関わるサービス」を提供している。そんなトーハン・コンサルティングが運営する出版業界特化型求人サイト「出版キャリアナビ」が、リニューアルから1年を迎えた。成果報酬型への転換やスカウト機能の導入、コンテンツ強化などを進めた結果、掲載求人数、会員数(求職者登録数)、PV数ともに伸長。出版業界の採用プラットフォームとして、存在感を増している。

リニューアル1年で登録者数・PVともに増加している「出版キャリアナビ」
成果報酬型導入で約6.5倍
出版業界特化が最大の強み
同サイトは、編集職を中心に、事務、営業など出版業界に関わる求人を掲載する。大手求人サイトでは埋もれがちな出版関係の求人を、業界志望者に見つけてもらいやすい形で届けることを目的としている。
トーハン・コンサルティングは、出版取次大手トーハングループの一員として、⾧年にわたり出版社と取引実績を積み重ね、そのネットワークや社員の深い業界理解を背景に、「人材派遣」「人材紹介」では質の高い人材の推薦を、「営業代行」では多様なプランとエリアを組み合わせたサービスを提供してきたが、「出版キャリアナビ」でも出版社のニーズを踏まえた採用支援を行っている。
サイトリニューアルによる最大の特徴は、掲載時に費用が発生しない「成果報酬型」の料金体系導入だ。一般的な求人サイトでは掲載時点で費用が発生するケースが多いが、同サイトでは掲載料は無料。採用が成立した場合のみ15万円の成果報酬が発生する仕組みを採用した。
成果報酬型導入の効果は数字にもはっきりと表れ、リニューアル前の広告掲載型の「出版ドットコム」最終年度と比較すると、掲載求人件数は約6.5倍に増加。従来から利用している出版社に加え、新規取引先も増えているという。
採用成立件数も、サービス開始から半年ほど経過した時点では月数件だったものが、今年4月には約10倍程度まで急増した。4月の採用繁忙期というタイミングが重なった面もあるが、夏頃までの採用予定者もすでに決まり始めており、成果は着実に積み上がりつつある。

出版業界での経験が長いトーハン・コンサルティング営業部のメンバー
登録者の7割以上が39歳以下
求人のニーズは編集職が中心
利用者も増加傾向にある。旧サイトを完全クローズし、新たに会員登録制として再スタートしたが、会員数は月平均で約2.5倍に拡大。PV数もリニューアル当初から約3割増で推移している。
登録者の特徴として目立つのが若年層の多さだ。39歳以下が全体の7割超を占める。出版業界経験者はもちろん、やる気のある未経験者層も多い。一方で、求人ニーズは依然として編集職が中心だ。編集職と営業職が主力で、事務職の求人もあるものの、成約難度は比較的高いという。
企業からアプローチ「スカウト機能」導入
公式X開設、サイト内コンテンツ充実
この1年で、機能面の強化も進めた。2025年8月にはスカウト機能を追加。企業側から求職者へ直接アプローチできる仕組みを導入した。利用料金は通常一律5万円だが、9月末まで、4週間または500通まで無料で利用できるキャンペーンを実施している。
さらに、求人原稿作成支援サービスも開始。求人票作成に不慣れ、忙しくて原稿作成の時間が取れない、との出版社の声に応える形で、内容整理や原稿作成をサポートしている。ヒアリングをもとに原稿の初稿を作成するもので、掲載スピードの向上と採用成立率の改善につながっているという。
サイト内コンテンツの充実も図る。キャリアアップ事例や職種紹介、業界研究などに加え、「神保町グルメ」といった読み物系コンテンツも掲載。求職者だけでなく業界関係者全般のリピート訪問を促す編集方針をとり、流入増につなげている。
今年4月には公式Xアカウントも開設。新着求人だけでなく、業界関連情報やサイト内コンテンツを発信することで、求職者との接点拡大を図り、認知拡大に向けた取り組みを進める。
SEO対策やWeb広告(リスティング広告)にも積極的に投資しており、「出版 転職」などのキーワード検索経由での流入増加を狙う。今後はクローリング対策を強化し、より多くの求職者の目に触れる環境を整えていく計画だ。競合他社と比べて求人内容が具体的で詳細に書かれているという点も、サイトの信頼感につながっており、業界内でのトーハン・コンサルティングのブランド力が求人の質を支えている。
「出版業界で働きたい」
明確な意志持つ求職者集まるサイト

「出版キャリアナビ」について話す阿部俊則営業部長
「出版キャリアナビ」の現状や今後の展望、トーハン・コンサルティングの強みについて、阿部俊則営業部長に話を聞いた。
――成果報酬型に切り替えた最大の理由は何でしたか。
出版社が掲載をためらわないようにしたかったのが一番です。どこの求人サービスも最初に掲載料がかかってしまいますが、当社は掲載料ゼロからスタートできます。出版社に使っていただいて初めて意味があるサービスなので、まず試してもらえる形にすることが大切でした。
――掲載無料とのことですが、費用はどのタイミングで発生するのですか。
採用が決まった時点で初めて成果報酬15万円をいただく仕組みです。掲載中はコストゼロ。決まらなければ一切費用はかかりません。その点では出版社にとってハードルが低く、試しやすい入り口になっていると思います。
――大手求人サイトと比較した際の特徴を教えてください。
出版業界の仕事は、大手サイトでは埋もれてしまいがちです。当社のサイトには「出版業界で働きたい」という明確な意志を持った求職者が集まっているので、無関係な応募に時間を取られるリスクが少ない。さらに、当社のスタッフは業界歴の長い者ばかりですので、出版社の仕事内容や職場の状況を理解したうえで、適切な人材をご紹介することができます。
――求職登録者の70%以上が39歳以下と聞きました。
ありがたいことに、転職の売り手市場となる若い方々に多く登録いただいています。経験者の方ももちろんいらっしゃるのですが、未経験だけれど出版業界で頑張りたいという志の高い方や、大学卒業後の就職活動では叶わなかったけれどもう一度チャレンジしたいという方が多い。
「本が好き」という純粋な動機を持った方が今もこれだけいるんだなと、あらためて感じています。また、それ以外の年齢でも、育児明けでキャリアを再スタートしたい方やベテランの方の登録もあり、多様な層が集まっています。
――求人原稿作成サポートサービスを始めた経緯を教えてください。
求人原稿を書くのは、想像以上に難しいのです。盛り込むべき情報や表現のルールもありますし、人事担当者の手間もかなりのものになります。当社がヒアリングをもとに初稿を作成し、担当者に修正・確認いただいて掲載します。掲載までのスピードが上がり、早期に採用が決まった企業も出てきています。現在は1案件1万円でサービスを提供しています。
――トーハン・コンサルティングとしての強みをあらためて教えてください。
やはり、業界経験の長いスタッフが揃っているのが一番の強みです。紹介先の出版社の仕事内容や職場の状況を深く理解しているからこそ、人材を推薦する場面ではこの方をこの会社におすすめできるかどうかの判断精度が上がります。求人数では大手には及びませんが、質の担保という部分ではご満足いただけると自負しています。
――今後の展望を聞かせてください。
会員数とPV数をさらに伸ばしながら、スカウト機能や原稿作成サポートを磨き上げ、さらなる右肩上がりを目指していきます。編集・事務を中心に、出版に関わるすべての職種をカバーする。そして、業界全体を支えるサービスへと育てていきたいと思っています。また、Web関連人材の強化や官公庁案件への参入も視野に入れて、事業の拡大をしていきます。
――ありがとうございました。

前列左から人材サービスグループ大澤笑美さん、滝川知生さん、後列左から営業代行グループ田中誠マネージャー、阿部俊則営業部長
想定以上の応募から採用
文化通信社 専務執行役員COO 原裕司
当社では編集と営業の人材を採用するため、この度「出版キャリアナビ」を活用しました。成果報酬型なので求人を掲出するハードルが低かったことと、「スカウト機能」が魅力でした。さらに大きかったのは、求人難の時代に、当社が求める出版・メディア業界に興味を持つ人材が集まっているであろうことでした。
実際に求人を掲出すると、想定以上の応募がありました。「スカウト機能」を利用することで、さらに多くの人材と面談することができました。この結果、応募者数だけではなく、年齢、性別、キャリアなども幅広い人材と出会うことができました。しかも、ほぼ全ての応募者が出版業界、メディアに興味を持っており、以前、一般的な求人サイトを利用した時とは全く違う反応でした。
おかげさまで、今年度、編集と営業で1名ずつ有望な新人を採用することができました。人手不足が深刻化し、多くの企業が人材採用に悩んでいると言われるなかで、業界に特化した求人サービスの利点をあらためて実感しています。
