「読者が選ぶビジネス書グランプリ」発表 グランプリは『シン・ニホン』

2021年2月22日

自著を手にする受賞作家と編集者

 

 ビジネス書籍の要約を配信するフライヤーは2月16日、「日本一のビジネス書」を一般投票で決める「読者が選ぶビジネス書グランプリ2021」を東京・千代田区のグロービス経営大学院で開催した。各部門の受賞6作品のほか、コロナ禍を支えたビジネス書に贈る特別賞が発表され、総合グランプリには『シン・ニホンAI×データ時代における日本の再生と人材育成』(安宅和人 著・ニューズピックス)が選ばれた。同書は政治経済部門でも1位を受賞。特別賞は『人は話し方が 9割』(永松茂久著・ すばる舎)だった。

 

  「読者が選ぶビジネス書グランプリ」は、ビジネスに役立つ「いま読むべき本」をテーマに、読者が選ぶビジネス書の年間アワードで、今年で6回目。今回は59出版社から過去最多の119点のエントリーがあった。

 

 対象書籍は、日本国内で1年以内(19年12月から20年11月) に刊行されたビジネス関連書。それらを6部門( イノベーション、マネジメント、政治・経済、自己啓発、リベラルアーツ、ビジネス実務) に分けて、ネットで一般投票を受け付けた。

 

『シン・ニホン AI×データ時代における日本の再生と人材育成』

 YouTubeで生配信された発表会には、受賞作品の著者や担当編集者らが出席し、同書に込めた思いを語った。グランプリ『シン・ニホン』の安宅氏はここ5、6年の間に国の政策に関わる仕事で停滞感を感じる場面に多く遭遇したが、「現実にはいくらでも攻め方はある。直視して考えれば道は相当ある。希望はある」と指摘。受賞については読者や周りで働いている人たちに贈られたものとし、「ここで変えられる一撃になれば」と強く語った。

 

 同書は初版3万部からスタートし現在15万3000部まで伸長。「今の日本の何が課題だと感じたのか」「これから自分たちはどう行動すべきか」といった具体的な感想が非常に多く、同社はTwitterやnoteに投稿した一般読者ひとりひとりに許可をとり、そのコメントを使用したパネルを作成。著者がどんな思いで執筆したのかをまとめた小冊子も店頭に置いた。

 

 発売3週間後には「NewsPicks」内の番組「WEEKLY OCHIAI」に著者の安宅氏が出演し、本書をベースに番組MCである落合陽一氏と対談。本書のテーマをさらに深掘りし関心が広がり売れ行きが加速した。発売直後は30~50代の男女が大半だったが、現在では中学生や高校生の方にも広がっているという。また、『シン・ニホン』の読書会を主宰する「シン・ニホン アンバサダー」が自発的に読書会をひらき読者層を広げた。

 

 特別賞を受賞した『人は話し方が9割』は、永松氏によると昨年コロナ禍の2月、3月からさらに売れ行きが加速。「意外とオンラインの方がコミュニケーション力が必要とされたのかなと。自分と向き合う時間が増えたなかで、この時期に話し方を見直そうと思った多くの人にはまったのでは」と述べた。

 

 フライヤーの大賀康史CEOは、今年のビジネス書の特徴として「当たり前からの変化」を上げた。また、20年にビジネス書が前年比を超えたことについても「これからの困難な時代を生き抜くためのビジネスパーソンの希望や意志を表しているように思える」と話した。

 

 2月17日から全国900書店超で受賞作を集めたフェアが始まっている。各部門の受賞作品は、次の通り。

 

 ▽イノベーション部門=『フィンランド人はなぜ午後4時に仕事が終わるのか』(堀内都喜子著・ポプラ社)

 

 ▽マネジメント部門=『心理的安全性のつくりかた』( 石井遼介著・日本能率協会マネジメントセンター)

 

 ▽政治・経済部門=『シン・ニホン AI×データ時代における日本の再生と人材育成』(安宅和人著・ニューズピックス)

 

 ▽自己啓発部門=『科学的な適職 4021の研究データが導き出す 最高の職業の選び方』(鈴木祐著・クロスメディア・パブリッシング)

 

 ▽リベラルアーツ部門=『LIFESPAN(ライフスパン) 老いなき世界』(デビッド・A・シンクレア、マシュー・D・ラプラント著、梶山あゆみ訳・東洋経済新報社)

 

 ▽ビジネス実務部門=『本当の自由を手に入れる お金の大学』(両@リベ大学長著・朝日新聞出版)

 

 ▽特別賞=『人は話し方が 9割』(永松茂久著・ すばる舎)