【出版時評】業界の会合やイベントも中止・延期に

2020年3月2日

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う政府の方針が発表されたことで、多くのイベントや集会、会議などが中止ないしは延期になっている。出版業界でも大小さまざまなイベントの中止が発表されている。

 

 トーハンが年間最大の対外的イベントといえる「全国トーハン会代表者総会」を中止すると発表。読者向けのイベントも、5回目を迎える「本のフェス」や、丸善ジュンク堂書店の「丸の内BOOKCON 2020」が中止を発表。海外では台北国際図書展に続き、世界最大の児童書ブックフェア「ボローニャ国際児童図書展」が5月に延期となった。

 

 春に予定されていた学会の多くも中止になっている。専門書の出版社はそうした学会に合わせて新刊を刊行したり、学会会場が年間を通じての貴重なプロモーションや販売の場になっていたりするので、学会の中止は直接ビジネスに影響を及ぼすことになる。

 

 また、旅行などの自粛ムードが強まることで、旅行ガイドなどの刊行を延期する出版社も現れているらしい。他のジャンルでも発売を先延ばしすることが増えたりすれば、新刊の刊行が減る可能性もある。

 

 そうなれば、感染終息時には逆に刊行が増えるといったことになり、印刷や物流にとっても頭が痛い問題であろうろう。

【星野渉】