「聴くことで解決できることを増やす」 オトバンク オーディオブック大賞2026授賞式

2026年10月14日

 オーディオブック配信サービス「audiobook.jp」を運営するオトバンクは10月5日、東京・千代田区の出版クラブホールで「オーディオブック大賞2026」の授賞式を開催した。文芸部門の大賞は『成瀬は都を駆け抜ける』(新潮社)、ビジネス書部門の大賞は『世界は行動経済学でできている』(アスコム)に決まった。

 

受賞者と受賞者代理

 

 初めに、オトバンクの久保田裕也社長があいさつ。配信事業は2027年に20周年を迎え、会員数は26年8月に350万人を超えると述べた。久保田社長は次の20年について、「聴くことで解決できることを増やす」と語った。対象として、学ぶ時間が取れないビジネス世代、老眼などで読書を諦めたシニア、育児中の人、視覚や読字に障害のある人を挙げた。また、法人のリスキリング、図書館・自治体との連携、学校での探究学習への展開も示した。

 

 続いて、ユーザー投票をもとに、文芸部門の準大賞と大賞が発表された。準大賞の『52ヘルツのクジラたち』(中央公論新社)は、著者の町田そのこ氏が登壇した。町田氏は、老眼で本が読めなくなった母にオーディオブックを勧めたところ、2人で本の感想を言い合えるようになったと明かした。「本を諦めた人の手元にも届く文化」だと語った。大賞の『成瀬は都を駆け抜ける』は、同社の編集担当・大嶋麻友子氏が著者の宮島未奈氏のコメントを代読した。宮島氏は「オーディオブックを聴くと、自分で書いた文章なのに新鮮に感じます」と述べた。

 

左から久保田社長と町田氏

 

 ビジネス書部門では、準大賞の『ゆるストイック』(ダイヤモンド社)について、同社の編集担当・種岡健氏が著者の佐藤航陽氏のコメントを代読。佐藤氏は読者に向け、「この先もオーディオブックとして長く聞き続けてもらえたら光栄です」と述べた。大賞の『世界は行動経済学でできている』は、著者の橋本之克氏が登壇した。橋本氏は、約40年にわたりコミュニケーションの仕事に携わってきたと説明。「聞く」コミュニケーションの重要性があらためて意識される中、オーディオブック化を光栄だと語った。

 

橋本氏

 

 続く特別部門では、audiobook.jp特別賞の準大賞『となりの小さいおじさん』(アルソス)の著者、瀬知洋司氏が登壇した。瀬知氏は、出版社の編集者だった08年にオトバンク創業者の上田渉氏と仕事をした縁を明かした。大賞には『集英社OTOコンテンツ』が選ばれた。オーディオブック作品の拡充にとどまらず、専用サイト開設や「ナツオト」キャンペーンなど、出版社自ら認知拡大と利用促進に取り組んだ点が評価された。

 

瀬知氏

 

 菊池雄星賞は、公式アンバサダーの菊池雄星投手が選ぶ賞で、『銀河鉄道の父』(講談社)を選出。菊池投手はコメント動画で、子どもの才能を信じて背中を押す「難しさと尊さ」を教えてくれる作品だと述べた。著者の門井慶喜氏は、一人で小説を書く自身をマウンドで一人戦う投手に重ね、受賞は出版社の編集者とオトバンクのスタッフが「バックで守ってくれたおかげ」だと、野球になぞらえて受賞の喜びを述べた。

 

門井氏

 

 法人版部門では、関西電力労働組合、壱番屋、東武鉄道の3社に活用賞が贈られた。

 

 最後に、創業者の上田氏が閉会のあいさつに立った。

 

上田氏