日本新聞協会は9月30日、「第33回新聞配達に関するエッセーコンテスト」の入賞者を発表した。新聞配達や新聞販売所に関するちょっといい話、新聞販売所スタッフとの心温まるエピソード、新聞配達の経験などを400字程度にまとめたエッセーを募集。今回は3208編の応募の中から、「大学生・社会人」「小・中・高校生」の2部門でそれぞれ最優秀賞、特別審査員を務める信州大学社会基盤研究所特任教授/ZEN大学教授の山口真由氏が選んだ審査員特別賞などを決定した。
各部門の受賞者は▽最優秀賞=「大学生・社会人部門」デア・シェーリアナ・チャンドラ(大阪市)、「小・中・高校生部門」三宅菫(岡山県倉敷市)▽審査員特別賞=「大学生・社会人部門」山口純弘(佐賀県唐津市)、「小・中・高校生部門」勝木田大聖(千葉県船橋市)▽優秀賞=「大学生・社会人部門」本田美徳(大阪府寝屋川市)、「小・中・高校生部門」田口怜奈(鳥取県米子市)。
大学生・社会人部門最優秀賞(1編)には賞金10万円と記念の盾、審査員特別賞(1編)には賞金5万円と記念の盾、優秀賞(1編)には賞金5万円と記念の盾、入選(7編)には賞金1万円と表彰状を、小・中・高校生部門(高校生・高等専門学校生は3年生まで)最優秀賞(1編)には図書カード3万円分と記念の盾、審査員特別賞(1編)には図書カード3万円分と記念の盾、優秀賞(1編)には図書カード2万円分と記念の盾、入選(7編)には図書カード1万円分と表彰状を贈る。
各部門の最優秀賞のエッセーは次の通り。
【大学生・社会人部門】
「一つひとつのペダルの裏にある意味」デア・シェーリアナ・チャンドラ(31)
日本に来る前、新聞配達は簡単だと思っていました。しかし、実際に働き始めると雨や風の日もあり、重い新聞を運ぶのは想像以上に大変でした。毎日、疲れと悔しさでいっぱいでした。
そんなある日、一人のおばあさんに会いました。おばあさんは「いつも階段を上って届けてくれてありがとう。足が悪いから助かっています」と言ってくれました。その時、私は初めて気づきました。自分の疲れは、誰かの役に立っている証拠なのだということです。
それまで新聞はただの物だと思っていました。しかし今は、お客様の「ありがとう」を聞くたびに幸せな気持ちになります。配達スタッフの中には高齢の方も多いですが、皆さんが元気に働ける理由も、この感謝の言葉があるからだと思います。どんなに大変な仕事でも、誰かの役に立っているとわかれば意味のあるものになります。今日も私は、目的を持って自転車のペダルをこいでいます。
【小・中・高校生部門】
「朝のにおい」三宅菫(7)
会ったことのないじいじ。わたしが生まれる前、じいじは一人で天国へ行った。そのころ、お母さんとばあばは、自分たちの生かつがある遠くはなれた町でくらしていた。会いたくても、すぐに会えないきょりだった。ある日、一本のでん話がなった。じいじが家でなくなっていたという知らせだった。
きっかけは、ポストにあふれる新聞だった。近じょの人がそれを見て、「おかしい」と気づいてくれた。じいじは、おふとんの上でしずかにねむっていたそうだ。
新聞は毎日とどく。読まれないままポストからはみ出していくのは、じいじが外のせかいにおくった、せいいっぱいの合図だったのかもしれない。
もし、新聞がなかったら。だれも気づいてくれなかったら。そう思うと、少しこわくなる。毎日とどけてくれる人がいてよかった。ありがとう。
新聞がじいじを見つけてくれたよ。この一ぶが、だれかのいのちをまもる。これからも、新聞と朝のにおいをとどけてね。
