朝日新聞社は9月9日、米国の国際写真コンテスト「インターナショナル・フォトグラフィー・アワード(IPA)」の2026年プロフェッショナル「アナログ/フィルム フォトジャーナリズム」部門で最優秀賞を受賞した。同部門での受賞は同社として初めて。

プロフェッショナル「アナログ/フィルム フォトジャーナリズム」部門で最優秀賞を受賞した田辺拓也記者の写真。ハンセン病回復者・中尾伸治さんが自身の肖像写真を持つ手を写した
受賞したのは、大阪本社映像報道部の田辺拓也記者がハンセン病問題の隔離政策や強制不妊手術の歴史をテーマに取材・撮影した8枚の組み写真。国立療養所・長島愛生園(岡山県瀬戸内市)で暮らす、ハンセン病から回復した中尾伸治さん(92)の生活を中判フィルムで記録した作品で、中尾さんが自身の肖像写真を持つ手や、身に着けてきたシャツ、雑草に囲まれた浴槽といった写真で構成される。6月10日付朝日新聞夕刊グラフ面に掲載した。
IPAは03年に創設された国際的な写真コンペティションで、プロフェッショナル、アマチュア、学生の3部門を設けている。主催者によると、26年は139カ国・地域から1万4000点以上の応募があった。プロフェッショナル部門の最高賞「年間最優秀国際写真家賞」にはトロフィーと賞金1万ドルが贈られるほか、アマチュア・学生部門の受賞者からは「年間最優秀新人賞」が選ばれる。
同コンテストのプロフェッショナル「ウィンタースポーツ」部門では、東京本社映像報道部の竹花徹朗記者が佳作を受賞した。ミラノ・コルティナ五輪のフィギュアペアフリーで金メダルを獲得した三浦璃来、木原龍一組が演技を終え感極まる様子を捉えた写真が評価された。
田辺記者は受賞コメントで、中尾さんが14歳で長島愛生園に入所し、92歳となった現在も同園で暮らしていること、語り部として半世紀以上にわたりハンセン病問題の啓発に取り組んできたことに触れ、「この賞は私個人のものではなく、長年にわたり取材に協力してくださった中尾さんをはじめ、ご支援いただいた多くの皆さまと共にいただいたものと受け止めている」とコメント。国立療養所では資料や遺構、当事者の記憶をいかに次世代へ継承していくかが課題となっており、今回の写真も記憶や歴史を未来へつなぐ試みだという。受賞作は10月14日から29日まで、奈良県立図書情報館で展示される。
