産経新聞出版 米ベストセラーの邦訳版発売 「出版中止の脅迫に応じぬ」

2024年4月5日

 

 

 

 産経新聞グループの産経新聞出版は4月3日、米国のジャーナリスト、アビゲイル・シュライアー氏の著書『トランスジェンダーになりたい少女たち SNS・学校・医療が煽る流行の悲劇』を発売した。本書の発売をめぐっては、同社に対して「出版中止」などを求める脅迫があったことを明らかにしている。

 

 同書は、著者がトランスジェンダーの子どもや家族(約200人・50家族)に取材したノンフィクション『IRREVERSIBLE DAMAGE』の邦訳版。同書はエコノミスト誌やタイムズ紙の年間ベストブックに選ばれ、世界9カ国で翻訳されている。

 

 産経新聞社によると、発売をめぐって産経新聞出版と複数の書店に対して「出版中止」を要求する脅迫があった。「原著の内容はトランスジェンダー当事者に対する差別を扇動する」として「出版の中止」などを要求し、発売した場合には抗議行動として同書を扱った書店に火を放つというものだという。

 

 産経新聞出版は「多くの人に読んでもらいたい内容であることはもちろん、米国のベストセラーが日本で発行できない状態であることに疑問を感じた。不当な圧力に屈せず、発行を決めた。多数の人が集まる書店を脅すなど許されない行為だ。産経新聞出版では、脅迫に応じることは、出版文化と表現の自由を脅かす前例を作ることになり得ると考え、予定通り刊行する。被害届を出したほか、人的・物的な被害が発生しないよう、関係各方面と真摯に協議、連携をしていく」とのコメントを発表した。