毎日新聞創刊記念 のんさん×渡辺えりさん 震災テーマにトークイベント

2023年3月9日

 毎日新聞社は151回目の創刊記念日となった2月21日、東日本大震災をテーマとしたトークイベント「のん×渡辺えり いま、伝えたいこと ~3・11と私たち」を東京都千代田区の東京本社で開催し、その模様をオンライン配信した。被災地が舞台の2013年のNHK連続テレビ小説「あまちゃん」で共演した俳優・のんさん、劇作家・渡辺えりさんがゲストとして登壇。2人は参加者から寄せられたエピソード「3・11と私」を紹介しながら、自身と震災との関わりなどを披露した。イベントの参加費は経費を除き、毎日新聞社が震災遺児のために設けている奨学金制度「毎日希望奨学金」に全額寄付した。

 

オンラインイベント「のん×渡辺えり いま、伝えたいこと~3・11と私たち」で対談するのんさん(中央)と渡辺えりさん(右)=東京都千代田区で

 

 イベントは創刊150年イヤーの締めくくりとして開催された。のんさんは昨年8月から毎日新聞のテレビ・ラジオCMに出演し、昨年11月からは月1回の朝刊コラム「月刊のん」を連載している。渡辺さんも朝刊の人気連載「人生相談」の回答者を務めており、いずれも毎日新聞読者になじみが深いことや、「あまちゃん」での出演以来、2人が被災地を訪れたりして、被災者らとのつながりを大切にしていることから、今回のキャスティングとなった。

 

 イベントでは、毎日新聞のアーカイブ動画に新たな取材を加えた被災地の2本の映像も紹介された。1本は、あまちゃんのロケが行われた岩手県久慈市の「三陸鉄道」沿線の被災時・再開時・現在の映像で、もう1本は、大津波と火災で壊滅的な被害を受けた同県山田町と、津波で船が陸に乗り上げた宮城県気仙沼市の計2地点を同じ画角で2023年まで定点観測し続けた映像だ。ロケで1~2カ月を久慈で生活したのんさんは「(被災地に)行くと『おかえり』と言ってくれる。元気を届けようと思って行くのに、逆にパワーをもらえる。このうれしさや感謝はずっと消えない。私は、岩手を始め東北の皆さんと一緒に歩んでいるつもりで活動したい」と懐かしそうに語った。

 

 渡辺さんは、撮影が休みの時、同県田野畑村の仮設住宅を慰問していたといい、イベント当日も同村に住む方から送られてきた朝採れワカメを持参。「この方に当時、『お金や物資を送りましょうか、必要な物は?』と聞いたら、『何かもらっても分けるのが大変だから、演劇を見せて。演劇なら分けなくてすむから』と言われて。その一言が、ずっしりときた。分けなくてもいいのが、アートなんだよね」と感慨深げに振り返った。原発事故で全域避難となった福島県飯舘村を14年に慰問で訪れた際の写真も紹介し、「支援が届かない人たちをたくさん見てきた。もっと地方のことを想像していかなければ」と語りかけた。

 

 最後に「いま、伝えたいこと」として、のんさんは「まだまだ復興に尽力されている方もいるし、力強く踏ん張っている人たちがいるっていうことを知り続けることが大事なことだなあと思った。東北の良さをたくさんの人に知ってもらえるような活動をしていきたい」と話し、渡辺さんは「人間って一人では絶対生きていけない。人に頼ってもいい、助け合っていこうと言いたい」と締めくくった。