北海道新聞社は2023年に光和コンピューターの出版ERPを導入。それまで手作業だった棚卸作業をハンディターミナルで行うことで効率化し、倉庫の移転にも対応するなど効果を発揮。運用費用の削減も実現した。
同社は北海道を代表する新聞社として、地元スポーツチームのガイドブックや、登山やキャンプ場のガイドブック、カレンダー、そして新聞連載の企画や小説の書籍化など、年に30点ほどの新刊を刊行。また、季刊雑誌『道新プラス』として「道新受験情報」を年3回、「北海道の病院」を年1回発行している。
今年3月26日に発売した『北海道日本ハムファイターズ オフィシャルガイドブック2026』は、チームの成績が良いこともあり、発売から1カ月たたずに重版する売れ行きだ。「チームが04年に北海道に移転してから、どんなに苦しい時期にも出し続けてきました」と長年応援する姿勢が売れ行きに結び付いていると事業局出版センターセンター長兼担当部長の大塚環氏は話す。チームをスポンサーとして支える道新ならではの独占インタビューなども掲載する。

また、今年1月21日にはA5判、1280㌻、定価4950円という大型企画『北海道の生活史』(岸政彦監修、北海道新聞社編)を刊行した。同書はコープさっぽろから60周年記念事業として提案があり、道新が編集を担当して「北海道の生活史」プロジェクトを発足。北海道にゆかりのある聞き手150人を公募で集め、それぞれが150人に聞いた生活史を収録した。
同様の手法で『東京の生活史』『大阪の生活史』(いずれも筑摩書房)、『沖縄の生活史』(みすず書房)を編集してきた京都大学大学院文学研究科教授の岸氏に監修を依頼。聞き取りの手法などノウハウを伝えるため、聞き手を対象とした相談会を10回以上開催した。

「この本は各方面から高い評価をいただいています。特に出版社や書店関係者など本の世界の人々からの関心が高い」と事業局出版センター部次長・水島守氏。同様の企画が中日新聞社、京都新聞社でも進められているなど広がりも見せる。
インボイス対応で新システム導入
基幹システムは、インボイス制度が導入された23年に向け、それまで利用してきたシステム会社と光和コンピューターから提案を受けた。その時の条件は「インボイス制度への対応」と「システムによる業務の効率化」だった。

左から太田氏、大塚氏、水島氏
光和コンピューターに決めたのは「当社が求める機能をすべて実装できる内容であり、さらに費用面でも優れていたことが決め手となりました」と制作局業務技術グループ・太田真人氏。決定から1年ほどで稼働したが、「1~2カ月の並行稼働を経て導入しましたが、大きな問題は発生せず順調でした」という。
旧システムではAccessを使って追加開発していた機能も、新システムでは実装できたため、開発費用と作業工数を抑えることもできた。
また、新たにハンディターミナルを導入したことで、それまで目視で確認して手入力していた返品処理や棚卸の作業が大幅に軽減され、登録漏れなどもなくなった。
同社は24年に新社屋へ移転したのに伴い、それまで同社屋内にあった倉庫を本社から離れた自社施設に移転。在庫管理などの業務を隣接する関連印刷会社に委託した。それでも倉庫に端末を設置してシステム連携することで、スムーズに業務を移行することができた。
保守についてもメリットがあった。「それまでは端末ごとにアプリをインストールしたり設定するなどの手間が負担になっていましたが、新システムではサーバーへのリモート接続設定を行うだけで利用できるようになりました。これにより、端末更新時の負荷が大幅に軽減されました」と太田氏。
また、開発した担当者が保守も担当していることで「問い合わせへのレスポンスが速くて正確なので助かっています。おかげで稼働後、大きな障害は発生していません」と評価する。
電子書籍はまだ点数が少ないため手入力で管理するが、システムには電子書籍管理の機能も入っているため、「印税計算は楽になりました」(大塚氏)という。今後は共有書店マスタを活用して書店からの受注時点で自動的に注文スリップを作成するといった活用にも取り組んでいく予定だ。
株式会社北海道新聞社事業局出版センター
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