第165回芥川賞は石沢氏と李氏、直木賞は澤田氏と佐藤氏に

2021年7月15日

 日本文学振興会は7月14日、第165回「芥川龍之介賞」「直木三十五賞」の選考委員会を開催し、受賞作品を決定した。芥川賞は石沢麻依「貝に続く場所にて」(講談社『群像』掲載)と李琴峰「彼岸花が咲く島」(文藝春秋『文學界』掲載)、直木賞は澤田瞳子『星落ちて、なお』(文藝春秋)と佐藤究『テスカトリポカ』(KADOKAWA)に決まった。

 


芥川賞は「貝に続く場所にて」「彼岸花が咲く島」

石沢麻依「貝に続く場所にて」

 

 「貝に続く場所にて」は『群像』2021年6月号掲載。著者の石沢氏は1980年生まれ。41歳。宮城県仙台市出身。東北大学大学院文学研究科修士課程修了。現在、ドイツ在住。同作で第64回群像新人文学賞を受賞している。

 

李琴峰「彼岸花が咲く島」

 

 「彼岸花が咲く島」は『文學界』2021年3月号掲載。著者の李氏は2回目のノミネートでの受賞となった。同氏は1989年台湾生まれ。中国語を第一言語としながら、15歳から日本語を学習。13年、台湾大学卒業後に来日。15年に早稲田大学大学院日本語教育研究科修士課程を修了し、16年民間企業に就職。17年「独舞」で第60回群像新人文学賞優秀作を受賞しデビューした。18年末に勤務先を退職。19年から独立起業し、作家・翻訳家・通訳者として活動している。

 

直木賞は『星落ちて、なお』『テスカトリポカ』

澤田瞳子『星落ちて、なお』

 

 『星落ちて、なお』著者の澤田氏は、5回目のノミネートで受賞が決まった。澤田氏は1977年、京都府生まれ。同志社大学文学部卒業、同大学院博士前期課程修了。2010年に長編作品『孤鷹の天』でデビューし、同作で中山義秀文学賞を受賞した。

 

 12年『満つる月の如し 仏師・定朝』で本屋が選ぶ時代小説大賞、13年新田次郎文学賞受賞。15年『若冲』で、直木賞候補、翌16年に親鸞賞を受賞。17年刊の『火定』で吉川英治文学新人賞候補および直木賞候補。19年『落花』で、山本周五郎賞候補および直木賞候補。20年『能楽ものがたり稚児桜』で直木賞候補。20年『駆け入りの寺』で舟橋聖一文学賞受賞している。

 

佐藤究『テスカトリポカ』

 

 『テスカトリポカ』著者の佐藤氏は1977年生まれ。福岡大学付属大濠高等学校卒。2004年『サージウスの死神』(佐藤憲胤名義)が第47回群像新人文学賞優秀作となり、同作でデビューした。

 

 16年『QJKJQ』で江戸川乱歩賞受賞。17年『Ank: a mirroring ape』で大藪春彦賞、吉川英治文学新人賞を受賞。21年『テスカトリポカ』で第34回山本周五郎賞も受賞している。