文化通信フォーラム、エブリスタ・芹川社長が小説投稿サイトの力など報告

2017年7月31日
 文化通信社は7月25日、東京・千代田区の文化産業信用組合会議室で、第2回文化通信フォーラムを開き、小説投稿サイトを運営するエブリスタの芹川太郎社長が「ネットと出版、連携の可能性を探る―『エブリスタ』ベストセラーを生み出す小説投稿サイトの現状と展開』と題して講演した。

 エブリスタはDeNAの子会社として2010年に小説投稿サイトのサービスを開始。投稿作品からは多くの作品が書籍化、コミカライズ、映像化などされており、『王様ゲーム』、『櫻子さんの足下には死体が埋まっている』、『京都寺町三条のホームズ』などヒット作品を生み出している。

 芹川社長は投稿作品や投稿作家、読者の傾向、投稿も読書ともスマートフォンの利用が80%を超えていることなどを報告。さらに、プラットフォームビジネスとコンテンツビジネスを組み合わせた収益化などについて話した。

 特に同社では、作家エージェントの機能を強化しており、作品を刊行する出版社の選択、映像化、コミカライズなどメディアミックスを積極的に推進している。また、数多くのコンテスト・文学賞を実施して、次々と新人を発掘している。

 芹川社長は「これまで掬いきれなかった才能、アイデアに光を当てる」と同社の使命を表現し、メディアミックスによって「これまで本を読んでいなかった人、書店にすら行かない人が読むようになる。オーディエンス(読者)を発掘している」と説明した。

 また、出版社が持つ編集のノウハウや、紙の本を制作、流通させる力を評価し、これからも協業を続けていく考えを示した。

 最後に小説の今後について、投稿作品の多さに「自分の周りにこんなに小説を書く人がいるのかと驚かされる」と書くことに情熱を持つ人の多さや、そうした作品をさまざまな形で提供すれば読み手も多いという手応えから、「楽観している」と述べた。

 第3回文化通信フォーラムは8月29日17時から、文化産業信用組合会議室で「アメリカで独立系書店が元気な理由―文化通信海外視察からの報告」をテーマに、本紙・星野渉編集長が話す。https://www.bunkanews.jp/event/