【出版時評】2026年10月6日付

2026年10月6日

出版業界と新聞業界の共闘

 

 新聞業界と出版業界を代表する業界団体が連名で、トラック新法による適正原価の段階的導入を高市早苗首相に求めた。こうした本格的な連携は、再販制度維持や消費税軽減税率以来だろう。


 トラック新法について、出版業界では今年春に日本出版取次協会会長(当時)だった近藤敏貴氏(トーハン)が、当社主催のセミナー「トラック新法成立後の世界~滅びの危機か、再生の夜明けか~」で強い危機感を示して以来、注目を集めた。一方、新聞業界からはこれまでそうした声はほとんど聞かれなかった。


 それが、9月に開催した「第6回活字文化フォーラム」に登壇した文字・活字文化推進機構理事長で読売新聞グループ本社社長の山口寿一氏の発言で一気に共闘の機運が盛り上がった。山口氏は熊本地震で日本製紙八代工場が被災し、新聞用紙を遠方まで運んでいる状況を挙げ、運賃上昇が新聞発行を危うくするとして、共闘の必要性を訴えた。


 新聞・出版両業界と接点のあるわれわれから見ると、近いように見えて相当違う業界だと感じてきた。しかし、流通やAIなど共通の課題を抱えるなか、共闘の意義はこれまでに増して大きい。特に新聞業界のロビーの力などは、出版業界にとって心強いのではないか。メディア同士が緊張感を持つことは大事だか、激変する環境に立ち向かうため、こうした関係は有効かもしれない。【星野渉】