ブックスキューブリックけやき通り店閉店
福岡県で25年にわたって営業を続けてきたブックスキューブリックが、7月20日をもって「けやき通り店」を閉店した。13坪の空間に、店主の大井実さんが自ら仕入れた本が並び、棚を眺めていると時間を忘れる。そんな書店だった。
閉店といっても、売上不振や、ましてや出版不況のせいではない。店舗は所有物件だし、しっかりファンもついていた。入居するマンションとの事情があり、開店から25年目の節目で退店を決めたのだという。カフェも併設して多くのイベントを開催する「箱崎店」での営業は続ける。
「けやき通り店」は、書店開業を志す人々にとって聖地ともいえる存在だった。全国的にも知られるようになった本屋Title(東京・杉並区)の辻山良雄氏などが訪れ、大井氏が相談に乗ったことはよく知られる。その後も、大井氏のアドバイスで創業した独立書店は多い。
そんな大井氏は、自店の運営だけではなく、業界の課題に対しても積極的に動き、発言する人でもある。2006年には今も続く「ブックオカ」を有志と立ち上げた。シンポジウムなどの場では、出版取引・流通問題への鋭い批判も繰り広げる。
「けやき通り店」の閉店は本当に残念だが、出版流通が大きく変わろうとするこの時代に、大井氏の活動からさらに良い書店が生み出されていくことを望む。【星野渉】
