【出版時評】2026年6月23日付

2026年6月23日

いよいよ動き出した出版業界

 

 いよいよ業界が大きく動き出したように感じる。1月に当社が開催した「トラック新法成立後の世界」では、日本出版取次協会の近藤敏貴会長が取引条件の変更がなければ取次事業を継続できないと宣言し、出版社に大きなインパクトを与えた。その条件交渉がいよいよ本格化する。


 そして、日本出版取次協会は長年懸案としてきた雑誌発売日や配送時間指定などのルール見直しに向けて動き出した。書店側では、ブックセラーズ&カンパニーの主要書店が数値目標と期限を定めた共同宣言を発表した。


 いずれも、従来の日本型出版流通・取引制度を大きく変えようとする動きだ。「ようやく」という感もなくはないが、遅きに失したとは思わない。当然、こうした動きには反作用もあるだろう。問題は、そうした反応の中でもやり遂げられるかである。


 出版社側でも、日本雑誌協会(雑協)と日本書籍出版協会(書協)の両トップが変わった。雑協理事長となった野間省伸氏はPubteXの創設をけん引し、業界団体の再編にも意欲を示す。書協新理事長の山本憲央氏は海外展開に前向きで、野間氏の問題意識も共有していると述べた。


 業界改革の必要性と、大きすぎた成功体験による停滞を誰もが指摘する。それでもいまは、先が見えないとしても、大胆に乗り越えるしかない。進むべき方向は見えているのだから。【星野渉】