【出版時評】2026年4月14日付

2026年4月14日

本屋大賞を海外に発信したい

 

 今年も本屋大賞が発表された。多くのメディアが報じるなど、出版業界が対外的に発信する大きな機会として定着している。受賞するのはすでに著名な売れっ子作家だが、受賞のあいさつを聞いていると、そんな著者でもこの賞の受賞は格別なようだ。


 これだけ注目を集める理由は、やはり受賞作が軒並み売れ行きを大きく伸ばすためだろう。メディアとしてもニュースとして取り上げるには、社会的影響の大きさが指標になることが多いから、「売れる」=「多くの人が興味を持つ」ことは大きく報じる。


 読み手である書店人が選ぶことで、選定基準はおのずから「面白い」作品になる。しかも投票者が多いので、その要素はさらに極められる。受賞作がその年で「最高」だったかは別にして、少なくとも「面白い」作品であるというのは、アメリカ映画のアカデミー賞に近い。


 今回『イン・ザ・メガチャーチ』で受賞した朝井リョウ氏は受賞あいさつで「ジャンルレスで、キャリアもさまざまな作家がノミネートされる。『極端』とも言える多様な作品が横並びになる」と述べた。これも多くの書店人が選定するためだろう。


 近年の日本文芸作品の海外展開を考えると、アカデミー賞がアメリカ映画の世界展開に大きな役割をはたしているように、本屋大賞も国外に広がることを期待したくなる。【星野渉】