【出版時評】2026年2月17日付

2026年2月17日

上がる本の価格

 

 NET21は2月10日に新年会を開催、おそらく業界で最後だろう。かつては、2月に入ってもいくつかの大手・中堅書店が新年会を開いていたが、それもなくなった。


 その中であいさつした小学館P・Sの井手靖社長は、小学館の次年度に向けた計画会議で値上げについて検討したと話した。また、新潮社の佐藤隆信社長は、消費税導入以来、本の価格は抑えられ、「いま値段が上がってきたというが、世の中の感覚からすると足りないのではないか」と述べた。


 「トラック新法」による輸送費高騰、そして近く用紙代がさらに上がり、印刷会社からも出版社に値上げ要請が来ている。どう考えても、本の価格を上げざるを得ない状況が、さらに強まっている。


 一方で、同じ新年会の立ち話で、書店経営者が「お客さんが新書を2冊持ってきて、レジを打ったら3000円と出て驚いたよ」と。確かに精算金額を見て驚かされることが少なくない。


 いったいいくらが妥当なのか。多くの出版社が頭を抱えているのだろう。自社が突出するわけにはいかないし、極端に価格を上げれば流通量が減りかねない。


 佐藤社長はこうも話した。「かつてこの業界では『効率』と言うと、いけないことのようなニュアンスがあった」と。本も量から効率への転換が迫られているのだろう。【星野渉】