書店活性化プランを生かせるか
経済産業省が「書店活性化プラン」を発表した。文部科学省、公正取引委員会、国土交通省など他省庁とも連携した広範にわたる内容だ。これまでなかった国による書店支援の動きだが、果たして生かすことができるのか。業界の対応が問われている。
活性化プランは、「書店の販路開拓」「書店のリノベーション」「書店へのRFID機器の導入」「書店の新規出店」「既存の書店の事業承継」「キャッシュレス決済の導入」といった具体的な内容から、「活字文化の振興」「魅力的な活字文化コンテンツの創出」「日本の活字文化の海外展開支援」といった出版、そして活字文化全体に及ぶものまである。
国が書店を支援する大義名分は、地域の書店が「重要な文化拠点」であり、「国力の源にもなっている」からである。単に苦しい書店の経営を支えるということにとどまらないのは当然である。
項目を省庁別に見てみると、先に挙げた具体的な書店支援策は、やはり経産省と中小企業庁のものに偏る。文科省は書店と図書館の連携もあるが、文化庁は活字文化全体の振興が中心。公取委は再販売価格維持契約の弾力的運用と、コスト上昇への対応というこれまでの政策が中心になる。経産省発の動きであり、産業振興となれば温度差が出るのは当然か。これを生かせるかどうかは業界にかかっている。【星野渉】