雑誌販売モデルの差
日本ABC協会の2024年7~12月雑誌販売部数発行社レポートを見ると、あらためて雑誌市場の厳しさを実感するが、分野やビジネスモデルの違いによる差も目立つ。
かつて150誌以上あった報告誌の数は89誌となった。報告誌全体の指数平均前年比も下がり続けている。販売部数が10万部を超える雑誌は週刊誌と月刊誌を合わせても10誌に満たない。
NTTドコモのdマガジンをはじめとした「読み放題」のユニークユーザー数は、子供誌や一部の雑誌を除いて紙版部数を大きく上回る雑誌が多いが、全体的には減少傾向にある。一方でデジタル版は『日経ビジネス』や『週刊ダイヤモンド』を除くとごく少数にとどまる。雑誌誌面を電子化した電子版へのシフトは進んでいないようだ。
そんな中で販売部数を増やし続けているのが『ハルメク』だ。高齢女性を中心にした読者に直接販売する。いわゆる定期購読(サブスクリプション)誌である。2021年に報告誌のトップ部数になってからも伸び続けている。
同誌以外で定期購読が多いのは部数2位の『家の光』と『日経ビジネス』をはじめとしたビジネス誌だ。この中で今春、店頭販売を終了し定期購読誌となった『週刊ダイヤモンド』は、前年下半期も部数を伸ばし、定期購読7万4000部のうちデジタル版が4万3000部余を占めるまでになっている。 【星野渉】