【出版時評】売り上げ減とコストアップ

2022年11月15日

 出版物の売れ行きは、出版科学研究所の調査でコロナ前の2019年と今年の上半期を比べると、紙と電子を合わせた販売額は8%近く伸びているが、電子が大幅に伸びたおかげ。紙の書籍、雑誌はともにマイナスである。

 

 書店や取次にとっては、売上が減少に転じたことに加え、今年は電気代など資材が高騰している。これがダブルパンチになって経営を圧迫している。

 

 比較的堅調だった地域中堅チェーン書店からも、もう人件費に手をつけるしかない、という悲痛な声を聴く。いま普及が進んでいるセルフレジも、初期費用を短期間のうちに人件費の圧縮でカバーしなければならない状況だ。店頭の質を維持してきた人材に手をつけざるを得ないのは、苦渋の決断に違いない。

 

 書店業務を大幅に効率化することが期待されるRFIDは、うまく普及したとしても、本格的に効果を発揮するには、時間がかかる。また、書店が対応するためのコストも必要だ。

 

 「街の本屋さんを元気にして、日本の文化を守る議員連盟」は来年5月に提言をまとめるというが、即効性があり、同時に広く国民の理解が得られる政策をどれだけ早く実現できるのかは未知数である。このほかも粗利改善などいろいろな施策が提案されているが、スピードアップして、書店が将来展望を持てるようにならないものか。

【星野渉】