【出版時評】一歩踏み込んでお役に立ちたい

2022年5月10日

 出版社が新刊や重版、パブリシティーなどの情報を書店に提供する手段として、FAXが使われることが多い。同報送信を利用すれば一度に多くの書店に送ることができ、書店がそのまま注文書として返信することも容易だ。

 

 当社がこのほどパイロット版をスタートした「BookLink」は、こうしたチラシを画像データで発信・閲覧できるサービスだ。ペーパーレスなだけではなく、出版社がタグ付することで、書店が求める情報とマッチングできるのが特徴だ。

 

 多量のFAXが届く書店では、用紙やトナーの費用もバカにならない。その書店にマッチしていないものも届くだろうし、店長がFAXを自宅に持ち帰り選別して担当者に渡すという話も聞く。それでも大切な商品情報だから、そうした努力を続けているのであろう。

 

 当社は出版社とも書店ともお付き合いをしてきた。そんな中でいろいろな問題や課題を知ることも少なくない。これまでは主にニュースとして提供してきたが、もう一歩踏み込んで、さらに業界の役に立てないかと考えて着手したのがこのサービスだ。

 

 業界には団体が運営するデータベースや取次のシステム、共同受注サイトなど様々な流通を支援する仕組みがある。「BookLink」もそれらと連動しながら出版の流通・販売を支援していきたいと考えている。

 【星野渉】