【出版時評】変化と改革の追いかけっこに

2021年1月18日

 年明け早々に緊急事態宣言が出され、連日、多くの感染者数が発表されている。昨春は欧米に比べると感染者数が少ないことが喧伝されたが、いまやそれほど変わらないレベルになってきた。やはり同じ人間なのだ。かつての成功体験?が危機への対応を遅くさせるということも、いつもものことだ。

 

 出版業界でも、昨春は異常事態の中でも本が売れ、多くの人が地域書店に足を運んだことが注目されたが、年末年始の売り上げは、大手取次の調査でマイナス。"巣ごもり"が出版物の売り上げに直結しているわけでもなさそうだ。年明けもオンライン販売は堅調のようだが、店頭売上は良くないという。

 

 待っていてもお餅は落ちてこない。コロナ禍の前から続く出版流通の危機などの課題は、確実に深刻の度合いを増している。こうした懸案の解決なくして出版業界の明日はないのである。

 

 ウイルスの猛威はいつまで続くのか。気候の変化やワクチン接種の進行などさまざまな要因があり、まだ見通すことはできない。その中で、我々のZoom操作が当たり前になるように、人々の行動はますます変化していく。

 

 そうした変化に対応するためにも、業界構造改革のスピードをさらにあげなければならない。今年はそんな変化と改革のレースがさらに激しさを増す年になるのではないだろうか。

【星野】