【出版時評】久しぶりの贈呈式への参加

2020年10月19日

 新潮文芸振興会は小林秀雄賞と新潮ドキュメント賞の贈呈式を、都内のThe Okura Tokyoプレステージタワー(旧ホテルオークラ)で開いた。招待者は関係者やメディアなど70人ほどに絞り、着席の会ではあったが、こうした〝リアル〟な宴席に出席するのは数カ月ぶりだ。

 

 改築のため旧ホテルオークラが休業して以来、昨年オープンしたThe Okura Tokyoにもこれまで訪れる機会がなく、初めての訪問となった。あいにくの雨模様だったが、虎ノ門周辺の様変わりにも驚かされた。やはり、実際に歩き回って初めて分かることも多い。

 

 振興会の理事長としてあいさつした新潮社・佐藤隆信社長は、感染症に対する感覚は人によって温度差があり、贈呈式については開催の可否を含めて社内で相当議論があったと報告した。それでもあえて開催に踏み切ったのは、同社らしい反骨の現れとも見えた。

 

 『潜入ルポamazon帝国』(小学館)でドキュメント賞を受賞した横田増生氏は、大統領選挙のためアメリカに滞在しているというが、以前なら収録された映像を流すところ、リモートで受賞者あいさつを行った。そんな光景も参加者にとってはもはや日常に映ったようだ。

 

 懇親会もなく短い会合であったが、この間の変化を実感させられる場でもあった。

【星野】