【出版時評】書店の存在感と改革の必要性

2020年5月18日

 緊急事態宣言が多くの自治体で解除され始めたが、これに伴って地域によって大型商業施設なども再開が始まり、営業を再開する書店が増えている。

 

 大手取次2社の取引先書店休業状況は、緊急事態宣言が発令された時点で両社合わせて約800店舗だったが、宣言が全国に拡大したことで、トーハンは約700店舗、日販は約640店舗(5月6日時点)と、両社合わせると約1340店舗に拡大。

 

 その後、連休明けに再開する書店が増え、休業店のうちトーハンは約350店舗、日販は約190店舗(13日時点)が再開もしくは再開日を決定しているという。この時点で休業店舗は宣言が出た当初の約800店舗に戻ったことになる。宣言解除でさらに再開店舗は増えているだろう。

 

 こうした書店の休業は出版市場全体には大きなマイナスになっている。Amazonが生活必需品を優先するため出版物配送の優先順位を下げたこともあったが、休業店分の売り上げの多くがそのままオンラインに流れたわけでもないようだ。まだリアル書店の存在は大きい。

 

 しかし、もしコロナ禍が収束していくとしても、出版流通の課題はそれ以前と変わらず、むしろ緊急性を増している。今回の異常事態をバネに、改革を一気に進めてほしい。

【星野】