【出版時評】休業、営業継続、ともに悩み

2020年4月20日

 東京都は緊急事態宣言下で休業を要請する業種から「本屋」を外した。どのような理由があるのかは定かではないが、もともと比較的規模の小さい地域書店の多くは営業時間を短縮するなどして営業を続けている。

 

 それでも、大手取次によると、4月7日に緊急事態宣言が出たことで、対象の7都府県で800店余の書店が休業しているという。休業店は百貨店やショッピングセンターなど商業施設に入居する大型店舗が多いため、店舗数以上に売り上げへのマイナスインパクトは大きいとみられる。

 

 営業を続ける書店では、連日多くの来店者があるという。休校が続いていることもあって学習参考書や児童書、そしてコミックスの売れ行きが良いようだ。しかし、そうした書店にも悩みはある。

 

 来店客が多すぎて感染を懸念する声があるため、入場制限しているケースもある。休館している公共図書館の代わりになっているのではないかと話す書店人もいる。不特定多数のお客と接する職場が敬遠されるため、従業員の感染を防ぐ対策も課題だ。そもそも、本来ならば休業したくても、家賃などがかかる店では難しいという事情もある。

 

 東京都は休業要請に応えた業者に協力金を出すとしているが、要請対象にならなかった「本屋」には出るのだろうか。緊急事態宣言は全国に拡大、さらに休業店舗は増えるだろう。

【星野】