【出版時評】フランスで独立系書店を援助する団体

2019年12月2日

 フランスには独立系書店を金銭的に支援する団体がある。出版社25社が加盟して、各社が年間売上高の0・15%、総額で80万ユーロ(約9600万円・1ユーロ=120円)を毎年出し合い、返済金も含めた200万ユーロ(約2億4000万円)ほどを書店に無利子で貸し付けている。

 

 用途は書店の開業からリニューアル、移転、買収、運転資金など多岐にわたり、年間で30~40軒の書店が利用し、これまでにフランスの独立系書店の多くが活用しているそうだ。

 

 このほかにも、国の機関や地方自治体も書店に対する助成金を出すなど、書店を支援する仕組みが複数ある。こうした支援が国、自治体、民間で行われているのは、フランス社会に書店を守らなければならないという認識が共有されているからだという。

 

 こうした制度のほかに、日本と同様に書籍及び電子書籍に価格拘束があることも独立系書店の助けになっており、6000万人ほどの人口に対して3500店と、主要国では比較的多くの書店がある。

 

 日本の社会とはずいぶんと違うようにも感じるし、それだけ支援しなければ書店が成り立たないと言えるのかもしれない。また、そのような金銭的な支援を厚くすることが、書店の経営力を強めるのかという疑問も湧く。それでも日本の書店の今後を考えるとうらやましくも感じる。

(星野)