【行雲流水】文化通信10月7日付

2019年10月7日

某月某日

 小社ホームページの制作がほぼ完了したので、Webコンサルティング会社、アユダンテの森武彦事業部長と打ち上げ。森さんはソースかつ丼屋のオーナーでもあって、『味の手帖』としても数年来の付き合い。この日はかつ丼ソースのレシピを開発提供する古賀達彦シェフが腕を振るう、「目白旬香亭」へ。

 

 ここの料理の特徴は何といっても減圧加熱調理。減圧すると沸点が下がるので低温でも火が通り、食感は残したままビタミンなどの栄養素や旨味を損なうことがない。まずは「いろいろ野菜たっぷりのグリーンサラダ」で、減圧調理由来の透き通ったシャキッとしたレタスに驚き、「洋風牛筋の煮込み」に悶絶し、山海の幸がたっぷり入った「具たくさんオムレツ」の滋味に浸る。続くロースとんかつ、エビフライ、そしてビーフカツサンドはふっくらジューシーな仕上がりで、まさに減圧調理の真骨頂。締めはビーフ入リガーリックライスとスリランカ風のブラックカレー。

 

 森さん、90年代バブル真っ只中で仕事をしていた若かりし頃は、名だたるスーパーカーを乗り回し、毎晩のように銀座で豪遊するが、バブル崩壊後暗転、相当な借金を抱えるも数年で完済という壮絶な人生ドラマは、初耳。その後、2016年春に福井名物・ソースかつ丼発祥の地、早稲田で「ワセカツ丼 奏す庵」を開業、2018年には映画「あまのがわ」をプロデュースする、異能の人である。

 

某月某日

 銀座・数寄屋橋の焼鶏専門店「バードランド」の和田利弘オーナーシェフと東急時代のポン友、K君の3夫婦で富士裾野のホームコースへ。年も腕前も大差なく気楽でいい。そして苦行?の後は我が家でバーベキュー。K君、和田師匠に焼き技を伝授してもらいたいと、前日から鴨のささ身や大山鶏の胸肉、せせり、ぼんちり、正肉などを横浜北部市場で買い込み、串打ちしてくる熱の入りよう。

 

 和田師匠、普段弟子にもあまり教えていない秘伝の技、①肉の厚みが均等になるように肉を整え串打ちする。②塩は鶏肉の味を損なう旨味の強いものは避ける。最初に口にする先の部分は強めに、手元は弱めに振る。③焦がさない。炭に脂が落ちた瞬間に逃がして炎と煙を極力避ける。④そのため日本酒を適宜スプレーして温度を下げる。同時に塩を串全体にまんべんなく纏わせる効果も。K君、非常に熱心で優秀な弟子と言われて、ご満悦。

 

某月某日

 地方の有力書店の集まりである「書店新風会」京都総会に初めて参加する。詳細については本紙記事に譲るが、出版社書店、取次の危機感と目指す方向性の微妙な違いを肌で感じる。会場に入る前に、新装なった大垣書店の京都本店を拝見。数字的に苦戦しているというが、書籍売り場のMD、VMDが見事で、おそらく想定のターゲット客層に認知が拡がり定着するまでの我慢が必要な段階とみる。

 

 2日目のゴルフでは、自由書房の篠田元弘社長が慶應義塾の大先輩、大和書房の佐藤靖社長と、くもん出版の志村直人社長は同年生まれと判明し、和気藹々愉しくプレー。スコアは恥ずかしながら109、前職東急への愛社精神健在なりと言い訳。志村さんは前半38で後半出だしのトリプルボギーがなければ、ベスグロ常連という学研プラスの大谷亨取締役のスコア79を凌駕できたはず。残念。

文化通信社 社長 山口