「The Bunka News」デジタル版2月閲覧ランキング 1位「くまざわ書店 25年出版社販売上位100社」 トラック新法議論も注目

2026年3月3日

 文化通信社はこのほど、2026年2月の「The Bunka News」デジタル版で月間アクセス数の多かった記事を集計した(集計期間は26年1月24日~2月20日)。最も読まれたのは「くまざわ書店 2025年出版社年間販売上位100社・分野別ランキング発表 朝日新聞出版が総合4ランクアップ」(2月3日配信)だった。

 

26年2月「The Bunka News」デジタル版アクセスランキングのサムネイル

 

 1月ランキングに続いて書店チェーンの出版社別販売金額ランキングが1位となった。丸善ジュンク堂ランキング同様、くまざわ書店でも『国宝』の大ヒットがあった朝日新聞出版の順位が上昇(10位から6位)。同書店では上下巻11万部以上を販売した。伸び率では万博関連本などが売れた71位のぴあが101.8%増と倍増した。一方、上位10位では2位集英社が18.3%減、9位の文藝春秋が13.2%減と二桁減だった。3位のKADOKAWAが前年を0.4%下回った。

 

 くまざわ書店関連では「くまざわ書店代表取締役社長・熊沢宏氏に聞く 店舗の“販売力”が強み 支える生産性向上と本部サポート」(2月6日配信)も6位にランクイン。熊沢宏社長は自社の強みを「販売力」と強調。本部では2、3時間おきに全店のPOSの数字をチェックして、他店で売れている本が売れていない店があれば、展開の仕方などを細かく指示しているという。出版社に対しては書店の粗利益率向上を求めた。

 

トランスビューが伊野尾書店引き継ぎ

 

 2位は「トランスビュー 伊野尾書店を引き継ぎ新規書店開業 伊野尾氏が店長に」(2月4日配信)。トランスビューは1月下旬、東京・新宿区の伊野尾書店の書店事業を引き継ぎ、「BOOKSHOPトランスビュー大江戸中井店」として事業継続することを発表した。出版社が書店運営を引き継ぐ事例は極めて珍しい。

 

 4月1日から伊野尾書店が持つ既存の外商顧客を引き継ぎ、6月1日に店舗をオープンする。新規店はトランスビューの法人名義で経営し、伊野尾書店と店舗物件の賃貸契約、および業務委託契約を締結。伊野尾宏之氏が新店舗の店長を務め運営を担う。

 

 現在の在庫は日本出版販売(NET21口座)へ返品し、新規店はトーハンから一般書店の取引口座で仕入れる。店舗の半分は従来通り町の書店として雑誌やコミック、書籍を販売する一方、残り半分はトランスビュー扱いの出版社の商材を中心に展示・陳列するギャラリーを設け、かつての取次の店売のように「小売店が仕入れに立ち寄る場所」としての機能を持たせるという。

 

 トランスビュー代表取締役の工藤秀之氏は「脱・委託配本が進むなか、現物を見てから仕入れたいという需要は独立書店に限らず、既存の一般書店でも高まっていると思う。出版社のポップアップストアとしても活用できる店舗にしたい」とその意図を話す。

 

トラック新法セミナー課題共有

 

 3位は「近藤取協会長、取引条件変更など訴える 文化通信社『トラック新法」で特別セミナー 物流・小売側から改善策も』(1月30日配信)。

 

 文化通信社が1月29日に主催した特別セミナー「トラック新法成立後の世界~滅びの危機か、再生の夜明けか~」で、日本出版取次協会・近藤敏貴会長(トーハン)はトラック新法施行により配送コストの倍増が見込まれることから、出版物の値上げと利益配分変更の必要性を訴えるとともに、雑誌発売日や見計らい配本など現行制度全般の見直しに踏み込んでいく考えを示した。

 

 近藤会長は、トラック協会が想定する適正原価が設定された場合、業界全体で主に取次が負担する送品運賃は現状の272億円から542億円に、書店やCVSが負担する返品運賃は103億円から205億円に倍増するとの試算を示し、現時点でも赤字になっている取次事業の存続は不可能だと訴えた。

 

 出版流通網を維持するためには、上昇するコストの価格転嫁、出版社の運賃分担が必要だと指摘。トーハン経営者としての立場から、出版社の粗利益額を維持したまま取次と書店の粗利益率を増やす場合の価格上昇などイメージ例を複数示した。

 

 パネルディスカッションでは、カンダホールディングスの原島藤壽社長が「トラック新法」設立の経緯を説明したうえで、出版配送は雑誌発売日が設定されていることから配送時間指定や夜間配送といった特殊な形態で、ドライバーの代替がききにくいなど課題を報告。

 

 製造・流通・小売全般を自社で行っているセコマ(北海道)の丸谷智保会長は、店着時間の変更や他物品との共配など、物流を中心にして製造や小売の体制を見直すことで効率化を達成したなど自社の取り組みを紹介。それらの取り組みから考える出版流通の改善点などを話した。