出版業界あげての読書推進キャンペーン「BOOK MEETS NEXT 2025」が10月25日から開幕。オープニングイベントが同日夜、東京・新宿区の紀伊國屋ホールで開かれ、俳優の岩崎加根子氏による谷川俊太郎作品朗読・朗誦、歌人の俵万智氏と動物言語学者でベストセラーになっている『僕には鳥の言葉がわかる』(小学館)の著者・鈴木俊貴氏によるトークイベント「つなぐ言葉、羽ばたく言葉」を開催した。

主催者あいさつを行った高井運営委員長
イベントには一般来場者と業界関係者など388人が参加。主催者としてあいさつに立った高井昌史運営委員長(紀伊國屋書店)は、期間中に実施する「ブックカバーカプセル」などの企画やイベントについて説明し、「この取り組みを通して、全国の書店へお客様に来ていただけるようにしたいと考えている。この機会に書店に足を運んでいただく方が1人でも増えることを願っている」と呼びかけた。
続いて事務局を務める出版文化産業振興財団(JPIC)の松木修一専務理事が概要を説明。全国各地の151書店のブックカバーをチャームにしたカプセルトイの販売(1カプセル400円)、全国約3000書店に掲載されているポスターのQRコードを読み取ると図書カードなどが当たるスタンプラリー、 11月1日「本の日」記念ブックカバー大賞をはじめ、全国9会場でのイベントなどを紹介した。
谷川俊太郎作品の朗読・朗誦を行った岩崎氏は、劇団俳優座の代表で今年92歳を迎えた。1月には第59回紀伊國屋演劇賞個人賞を受賞している。この日は谷川俊太郎の詩「平和」を朗読し、「生きる」を朗誦した。

谷川俊太郎の詩を朗誦する岩崎氏
トークイベントでは、俵氏のファンだという鈴木氏が、自然の中でシジュウカラを観察し言語能力を発見した経緯などを説明。俵氏が短歌を創作するきっかけなどについて話し合った。

俵氏(左)と鈴木氏によるトークイベント
また、書店について俵氏が「書店だと待ちぼうけを食らっても、なんか腹が立たない。待ち合わせの場所として本屋さんはおすすめだと思います」と発言。鈴木氏は子どもの頃から図鑑コーナーが好きだったと話し、「本を書いて、リアル書店とネット書店は全然違うと思った。リアル書店はぶらぶら歩いている時に、それまで目を留めなかったタイトルが気になってパラパラできる。そして知らないうちに買っていたりする。それが楽しい」と述べた。
自著が売れる現場を見たことがあるかとの問いに、俵氏は『サラダ記念日』を刊行したときに「書店で張り込みしたんです。でも2時間ぐらいじゃ売れない。考えてみれば2時間に1冊売れたら大変なことになる」。それに対して鈴木氏は、シジュウカラの声が出るPOPを作り設置したところ、購入する子どもを見ることができたとし、「実際にその現場に立ち合える。それもリアル書店の喜びです」と述べた。
最後に両者がお薦めの本を紹介し、登壇者と参加者の写真撮影を行って終了した。
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