PubteX  10月以降に「AI発行配本サービス」提供開始 文化通信社セミナー2025で渡辺社長が講演

2025年9月26日

 文化通信社は9月11日、PubteXの代表取締役社長・渡辺順氏を招きオンラインセミナー「PubteXが目指す出版流通DX - RFID事業の進捗と出版流通改革実現に向けた課題・見通し」を開催した。

 

オンラインセミナーを行う渡辺氏

 

 同社は丸紅と講談社、小学館、集英社が設立した会社で、出版業界をサステナブルなものにするために、DXを駆使して課題解決へと導くソリューションを提供している。

 

 冒頭、渡辺氏は出版業界の課題として返品に関わる経済的損失を挙げた。渡辺氏は「返品に関わる廃棄ロス・物流費等は毎年2000億円以上とされ、出版社、取次、書店のいずれの収益も圧迫しており、サプライチェーン全体の収益性が低下している」と述べ、同社のRFID事業によるデータの整備とAI発行配本事業が必要な手段であると話した。

 

 電波を使った複数タグの高速同時読み取りが可能なRFIDの導入は、リアルタイムな書店状況の可視化、出版社と書店の共創マーケティングへの活用などに加え、データの蓄積も可能になるという。データ閲覧サービスに関しては、書籍ごとに「いつ、どこで、何が行われたのか」を把握できる。現在導入を決めている書店は31法人123店舗、タグ装着を決めている出版社は13社で、コミックの新刊に関しては8割を超えるシェアとなっており、「今後は文庫や新書への拡大にも取り組みたい」と語った。

 

 また、同社は10月以降に「AI発行配本サービス」を提供する。AIを活用し、初版部数を予測する「類書データベース」、需要に応じて配本を最適化する「配本シミュレーター」、市中在庫の状況から重版の適正を算出する「重版アラート」のほか、書店に在庫不足を知らせて売り逃しを防ぐ「売り伸ばしアラート」を展開。従来の勘や経験に依存した判断をデータによるアクションに変え、出版サプライチェーン全体の効率化を目指すという。

 

 さらに、コード生成AIを導入し、少人数でも迅速なシステム開発の実現を目指すとしたうえで、書誌データや共有書店マスタの自動生成、販売傾向に基づくクラスタリングにも取り組んでいる。

 

 渡辺氏は「当社ではDXの手段となるサービスを提供しているが、DXそのものを起こすためには業界の方々の理解や連携が不可欠。業務や組織、商慣習の変革が必要だと強く思っている。5年後では遅い。今年、来年に具体的な改革を進める必要がある」とし、「出版業界の各社と連携を強めて、流通改革の実現に邁進したい」と締めくくった。

 

〈セミナーアーカイブ視聴申し込み受付中〉

アーカイブ視聴料:8,800円(税込)

お申し込み、お問い合わせは文化通信社セミナー事務局 jigyou@bunkanews.co.jpまで。

 

〈今後のセミナー〉

10月23日(木)15:30〜19:00(セミナー15:30〜16:45) 

大垣書店代表取締役会長・大垣守弘氏による「滅びの危機か、再生の夜明けか―書店の岐路に立って」を会場とオンラインのハイブリッドで開催する。

オンライン開催の申し込みPeatix:https://peatix.com/event/4582021

   会場開催の申し込みPeatix:https://peatix.com/event/4581785